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資源ゴミ置き場

あまり健全ではない文章を置いていく場所だと思います。

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紫をまとう骨『グレーテル』の人体練成にっき

 
 (まえがきのような何か) 
 この文章は管理人のElonaPC(紫をまとう骨『グレーテル』)のプレイ記録や生い立ちの話のようなものだったりそうでなかったりします。
 グレーテルの詳細についてはこちらを。
 グレーテルはリッチ魔法使いの女性ですが人体練成した乞食とレントンとその他多数の仲間を連れてプレイしています。魔法使いというか人形遣いっぽい。
 文中に少し猟奇的な表現を含むかもしれないのでご注意ください。
 

  
 
 ×月△日
 いつの間にか、この"ノースティリス"という場所に辿りついてから一年が経っていました。
 最初は食べものの食べ方や飲みものの飲み方、歩き方といった生活に必要なことの方法まで忘れてしまっていたけれど、一年も経てばそこそこ思い出せるようになりました。
 最初は喋り方も忘れていて、髪も服もぼろぼろで、街で話しかけた人からいやな顔をされるのが少しつらかったけれど、今はもう気になりません。
 そして、ひとりで遠い街まで歩くこともできます。
 そうそう。これが書きたかったのです。このノースティリスの街で、わたしはルミエストを一番気に入りました。あんまり暑くなくて、だけどいつも雪だらけじゃないからです。
 だから、このおうちもルミエストのすぐ横に建てました。ここは魔女にもやさしい街みたいなのでよかったです。
 それから、わたしの大好きな色の髪をしたお兄ちゃんを見かけたから。それが、わたしのルミエストが好きな一番の理由です。
 ルミエストにいる、わたしが好きな色のお兄ちゃんはどうやら妹がいたらしいのですが、どうやら湖に入って死んでしまったそうです。妹が死んでしまったのは冬の日だったそうです。
 あのお兄ちゃんの妹は、やっぱり雪が降る中で水に入ってしまったのでしょうか。冬の湖はやっぱり凍っていたのでしょうか。
 凍った水に入るのは身体がとても痛いと思いました。それから、水に入って死んだ人の身体はとてもひどいと言います。あのお兄ちゃんの妹もとてもひどい姿になってしまったのでしょうか。
 全身の皮は水で膨れてぶよぶよで、髪もぼろぼろに抜け落ちて、身体の中が腐ってガスが出るせいでお腹は妊婦さんのように膨らんで……お肌も緑色だったり灰色だったり、変な色になっていたかもしれません。
 そんな姿でお人形さんにするのはちょっとかわいそうな気がするのでお墓の中で骨になるまでゆっくり眠らせてあげた方がいいと思います。
 あと、やっぱりあのお兄ちゃんの妹はお兄ちゃんと似たきれいな色の髪をしていたのでしょうか。もしそうだとすれば、ぼろぼろに抜け落ちてしまったのなら、とてももったいないです。
 ……"冬の日"、"凍った水"という言葉を並べてみたら何だかとてもいやなことを思い出しそうになりました。
 わたしは湖を見ても平気だったから多分、"とてもいやなこと"と湖は関係ないはずです。何がいけないのでしょうか。やっぱり、川でしょうか……?
 ……きっと思い出したら大変なことになってしまうのでこのことについてはもう考えないようにします。
 
 ○月×日
 今日はネフィアとよばれる遺跡で拾った鍋の説明書を読んでみました。
 この鍋は、どうやらバラバラになったお人形を使って新しいお人形を作れるようです。
 このお人形は生きていて、本来は作ってはいけないものらしいです。
 もし作ってしまった場合は、"カルマ"といわれるものがたくさん減って罪を償わなくてはならないそうです。
 でも、わたしはお人形がほしい。この手でお人形作りをしてみたいのです。
 お人形作りをしたら罪を償わなくてはいけないルールなら償いたいと思います。
 まず、倒れていた私を介抱してくれたエレアのお兄ちゃんがくれたお肉…何だか食べる気になれなくてまだ冷蔵庫に置いてあるお肉を素材にお人形作りをしてみます。
 そのためには、まだまだ身体の部品が足りないのでパーティー会場で集めて来なくてはいけません。
 それから。お人形作りができる鍋はくず石や動物の骨やいらない布からふかふかしたパンを作れるそうなのでこれからは食べるものにも困らなくなります。とても嬉しいです。
 あとはお薬の調合なんかもできるそうなので試してみることにします。
 "お薬の調合"という言葉を読むと何だかなつかしい気持ちになりました。
 確か、小さい頃にグランマがわたしに"生きる知恵"として教えてくれたような気がします。
 "お酒は人を癒す薬にも人を殺す薬にもなる"
 グランマはそう言っていたと思います。
 でも、わたしはお酒で自分の身体と頭をダメにしてしまったそうなのでお酒はもう飲みたくありません。
 お酒で頭をダメにしなければ、今のわたしはこんなに忘れんぼうじゃなかったはずです。
 お酒は、とてもとても危ない薬です。
 
  
 ○月××日
 今日は、わたしが生きているお兄ちゃんの人形を作りたいわけを考えてみました。
 どうやら今のわたしは"リッチ"と呼ばれる存在らしいです。リッチという言葉には外国で"死体"という意味があります。
 つまり、わたしは死体なのです。普通の死体は動きません。それなのにわたしの身体が動くのはどうやら"呪い"といわれる魔法のせいらしいのです。
 わたしは魔法で動く死体だという証拠に、わたしの左手は肉を食べてしまったせいで骨のまま戻りません。骨のままでも左手は動きます。それは魔法の力です。
 わたしの右目は腐ってしまいました。眼球が落っこちてしまったままでは不格好なのでつくりものの目を入れています。つくりものなので右目は見えません。
 そして、今のわたしには生理も来ません。
 それだけじゃない。どうやら、わたしは"リッチ"になる時に赤ちゃんを産む臓器をなくしてしまったらしいのです。
 わたしは赤ちゃんを産めないのです。
 わたしはもう"母"にはなれないのです。
 でも、もう赤ちゃんが産めないことは悲しいことだと思いません。そもそも、腐った死体が赤ちゃんを産むなんて…おかしいことだとわたしは思います。
 "死体"ことリッチから生まれた赤ちゃんって何と呼べばいいのでしょう? 人間? それともリッチ?
 そして、腐った死体から出る母乳なんて腐っているに決まっています。腐った母乳を赤ちゃんにあげるなんていやです。
 だから、わたしは赤ちゃんじゃなくてお人形が欲しいのかもしれません。
 お人形を作るなら、お兄ちゃんのお人形がほしいです。
 髪の毛の色は、きれいな紫色がいいです。
 お兄ちゃんのお人形の部品も、パーティー会場で集めることにします。
 お人形作りのことを考えるだけでとてもとても楽しみです。
 
 
 ×月○日
 今日はやっと一人目のお人形の材料が揃いました。
 お人形の部品集めはとてもとても大変でした。
 でも、部品集めが大変だからこそお人形作りはやりがいがあるのかもしれません。
 パーティー会場にいる人たちにはお人形の材料をくれる人がいたのでとても助かりました。
 あと、新鮮な人のお肉ももらうことができたので、これもとても助かりました。
 最初は、人のお肉を料理して食べていると、何だか変な声や歌を聴いたり変な影を見たりしてそれが怖くて叫び回ることになってしまいました。
 でも、今はそんなこともなくなりました。歌も影も怖くありません。
 あと、最近は人のお肉の味がとても美味しく思えて他のお肉……例えば柔らかいプチのお肉ややどかりのお肉を食べても人のお肉ほど美味しいと思えなくなりました。
 どうしてなのか、人のお肉が食べたいのです。
 わたしは、おかしくなってしまったのでしょうか……だけど、この土地では誰もわたしを"心が壊れている"と言わないのできっとここでは人のお肉を食べることもおかしいことではないのかもしれません。
 ここに着く前に住んでいた場所、雪の女王の国ではわたしはもっとひどいことを言われていたはず。"心が壊れている"なんて言葉よりずっと心が痛くて悲しくなることを言われていた気がします。
 それなのに、その"ひどいこと"が何だったのかは思い出せないのです。いくら頑張っても思い出せません。
 でも、それからだったと思います。わたしが"痛いこと"を大嫌いになったのは。
 そんなわたしが、"痛いこと"を思い出せない頭になってしまったことはもしかするととてもしあわせなことなのかもしれません。
 思い出せないことは痛くありません。何も感じないのです。
 そうだ。"痛いこと"と言ったら思い出した。……思い出せないことと思い出せることがあるのはどうしてでしょう。
 昨日、絶対に忘れちゃいけないことはすぐ思い出せるようにと自分の右手を本代わりにしようと小さなナイフで魔法の呪文を彫って黒いインクを流してみました。
 そうすると、前よりも魔法の詠唱がうまく行くようになりました。大成功です。
 小さなナイフで彫るくらいならあまり痛くなかったので右手はこれから呪文のメモ帳にします。
 わたしの身体なら首や胸の方がたくさんの呪文を彫れるけれどすぐに見ることができないのでここには彫りません。胸はあばら骨がぼこぼこしていて文字なんてうまく彫れなさそうです。
 それから。右手の文字にインクを流した時、ワンピースの裾にインクをこぼしてしまいました。いくら洗っても取れなかったので黒い染料をたくさんかけてみるときれいに染まりました。
 わたしは紫色が好きだけど、黒も好きなので"わざわいをてんじてふくとなす"でした。
 ……そうそう。こんなことよりも書きたいことがあるのです。お人形のことを書かなくちゃ。これが書きたかったのだから。
 鍋の説明書を読むと、お人形の骨は一かけらでいいそうです。瞳も一つでいいそうです。
 心臓が一つだけでいいのは分かるけれど……これで大丈夫なのでしょうか?
 とにかく作ってみることにします。
 そうだ。必要な部品以外に、あの緑色のお兄ちゃんが落としていった髪の毛を一本見つけたのでそれを混ぜてみようと思います。これは実験です。
 その前に、街にいる人たちから受けた依頼は全部終わらせておかなくてはいけません。
 一人目のお人形作りが終わった後は、しばらく遠く西にあるガードのいない街で寝泊まりする日々が続くことになるはずだから。
 今から、西に行く前に、わたしにもできそうな依頼がないかルミエストの掲示板を見に行くことにします。
  
 
 ×月×日
 今まで西の街に行っていたので暫くこのノートを開くことができませんでした。
 あの街のすぐ傍に雨を避けるための倉庫を一つ作りましたが、ノートを忘れてしまったのです。
 思えば、帰還の巻物も何枚か持っていたのだからそれで取りに帰ってこれば良かったのです……今度からはそうします。
 今、わたしの横では一人目のお兄ちゃんが寝ています。あの緑色のお兄ちゃんの髪の毛を混ぜたので、お兄ちゃんの髪はきれいな緑色です。
 この緑のお兄ちゃんはたまにいたずらをしてくるので困ります。
 たとえば、伸びてきて邪魔だったから切った髪の毛をお風呂に浮かべちゃったり。
 あの時は自分の髪の毛だと分かっていてもとてもびっくりしてしまいました。
 昔読んだ"マンガ"と言われる絵本で、こんな風に呪われた人のお風呂で女の人の髪の毛が水に浮かんでいるという怖い話があったのを思い出しました。
 あの絵本が書かれた国では、人の髪の毛が"呪い"に使われていたと聞きます。
 そういえば、わたしの髪はまるで生きているみたいで手に負えません。
 左側だけは赤い紐で縛っていますが、前に右側も同じように紐で縛ろうとしたら髪が勝手に暴れてほどけてしまいました。
 その時には、わたしの髪まで"呪い"をため込んでしまっているみたいでぞっとしました。
 ……でも、"呪い"で動いている存在なのに"呪い"を怖がるのもおかしい話です。
 そうそう。ガードのいない街にいた時は髪を切ることができませんでした。
 そのせいで前髪がとても邪魔になってきています。そろそろ切らなくちゃ。
 切った髪の毛はちゃんと魔法で燃やしておかないと緑のお兄ちゃんがまたいたずらに使ってしまいます。
 それから。次の、きれいな紫色をしたお兄ちゃんのお人形を作る時に混ぜるのは、あのルミエストにいる悲しいお兄ちゃんの髪だけにしたいと思います。
 一人目のお兄ちゃんは、緑色のお兄ちゃんにとても似過ぎています……。
 
  

  
 *つづきをよむ*
  
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