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資源ゴミ置き場

あまり健全ではない文章を置いていく場所だと思います。

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えろな自PCの100質問(ゲールト編)


 今回の回答者は影に溶ける人『ゲールト』(ノーランド魔法使い♂)です。

 彼はomake_overhaulのマイナスフィート縛りプレイ実験のためデバフがかかりまくってます。
 マイナスフィートリスト:貧弱(HP25%低下)、暴食、友好度低下、純情(気持ちいいこと不可)、性依存
 コミュニケーションとメンタルにかなり難があります。今にも死にそうで死なない。


 
 馴染みの情報屋が陰気な雰囲気の青年に近づいてきた、相変わらずへらへら笑っている。
 「やあこんなところに来るなんて久しぶりじゃないか。え、今は誰とも話したくないって?そんなに人に怯えるなよ、上等のクリムエールも用意しているから向こうで飲もうじゃないか」
 「そういえばお前さんもだいぶ偉くなった見たいだな、こっちまで名声が届いてるよ。どうしたそんな顔して?あー本題にいけってかそりゃすまない。お前さんのことを知りたいって奴がいるからちょっとばかし記事を書いてくれないかって頼まれたんだ、よければ協力してくれないか?手間賃はそこの酒でいいぜ。」
 「よしわかった、ありがとう。ちょっとばかし長いから覚悟してくれよな」
 
1 まずは名前を聞こう。
「…………ゲールト。あとは『影に溶ける人』とか言われています」
 
2 ……そうか。いい名だな、なんか所以があるのか。
「………………『勇敢で丈夫』という意味があるようですね。異名の意味は知りません。本当に溶けて消えることができたらいいのにと幾度となく思います」
 
3 それで読者はお前さんをなんて呼べばいいかい?ほら!あだ名とかだよ。
「……ご自由に。あだ名を付けられるほどの仲の人間なんかいたことありませんから」
 
4 なるほどね、そういえばどこ出身だっけな。
「………………メイルーン」
 
5 ついでに聞いておこう、種族と性別もだ。いや、最近はエーテル病で色々あるからな確認だ。
「…………ノーランドの男ですよ。身体は至って正常です」
 
6  次は生年だな、何月に生まれて今何歳だ?
「…………僕が生まれたのは12月17日。歳は21です」
 
7  こんな項目もあるな、髪と目、肌、あとは服の色、さらに外見的特長を書けって書いてあるな、どうだ?お前さんの自己申告でいいぜ。
「…………癖毛の黒髪に沈んだ灰紫の目。肌は貧血で青白い。着るのは薄墨のローブ。左耳にはピアスを3つ、右にはピアス2つ。あとは………………これでもうわかりましたか?」
 (ゲールトは苛立ちながら顔の包帯を解いた。顔の左側に切り傷の跡がある)
 
8 ああ、顔に傷があると大変だよな。……よく見ると服装いいじゃねえか、何かこだわってるのか?
「…………目立たない色を選んでます。この顔を人目に晒したくありませんから」
 
9 そうかそうか。そういえばお前さんの利き手はどっちなんだ?
「…………こっち側。見りゃ分かるでしょう」
(ゲールトは煙草を吸い始めた。煙草を右手の指先で摘まみながら気だるげに息を吐いた)
 
10 後はそうだな・・・・・・身長と体重も聞いてもいいか?
「…………身長は174。体重は落ちる一方かと思えば増えもしますが」
 
11 OK、わかった。家族構成って聞いたことないな、どんな感じなんだ?
「…………家族の話はしたくありません。僕には話をする資格なんか………………弟も妹も捨ててしまいましたから。それに、父さんも母さんも会いたくない存在です」
 
12 そうか。それで今どこに住んでるんだ?
「……声の湖の傍です。あの『自殺の名所』と言えばわかりますよね?」
 
13 嫌な噂はあるけどいいところだな、しかもお前さんの稼ぎだから小城とかに住んでるんだろう?(家の大きさなど)
「生憎、森のほったて小屋です。そんなに稼ぎもありませんし。僕のことを煽っているんですか?」
 
14 ……まあまあ、そんなにイライラするなよ。お気に入りの家具とかあるかい?
「………………お気に入りといったら、アイアンメイデンがお気に入りでですね。棺桶も手離せないんですエヒッ」
 (情報屋はゲールトの笑い方を不気味だと感じた)
 
15 わかったわかった。あとは冒険者といったら家に人を雇ったり住まわせたりしてるのが相場だが・・・・・・お前さんもそういうのはいるかい?
「………………ガーンナとかいうメイドがいます。あの人は金を払って仕事をしているだけです。声をかけるだけで嫌な顔をする。僕にはお見通しなんですよ」
 
16 OK、ありがとう家についてはこれでラストだ。何階建てだ?
「…………1階建てです。雨風さえしのげればいいんです。そんなに広さはいりません。無駄に家が広くても寂しいだけですから」
 
17 次はお前さん自身についてだ、ずばりお前さんの性格を自分で表すとどんな感じだ?
「………………根暗で臆病者。嫉妬深くて短気でわがままで………………つまり皆に嫌われる性格です」
 
18 次はお前さんの長所だ。
「そんなもの、ありません」
 
19 ふむふむ、次は短所も言ってみようか。
「…………さっき言ったこと全てですよ。あなたの耳は腐ってるんですか?」
 
20 悪かった悪かった。そうだな、あとは口癖とかあるかい?
「………………そんなもの、知りません」
(ゲールトは2本目のタバコを取り出して火を点けた。情報屋は「声が小さい」「話し始めに言葉を詰まらせる」、「すぐ拗ねる」と記した)
 
21 (15分経過)ああ!これを聞くのを忘れてたぜ。ほら!お前さんの職業だよ。すまねえな、聞かせてもらえるかい?
「……一応魔法使いをやってます。才能なんかありませんが」
 
22 なるほど、で普段はどこを拠点で活動してるんだ?
「……ヴェルニースにいることが多いですよ。それかポート・カプールか」
 
23  じゃあお次はそうだな・・・・・それ以外で普段は何をしてるんだ?(副業など)
「……やけ食いして動物をモフモフして寝る。それくらいしかやることなんてありませんね」
 
24 趣味を聞かせてもらってもいいかい?
「………………唯一の趣味はカリグラフィーです。見せる相手はいませんが」
 
25 次は特技だな、何かあるか?
「人に嫌われるのは得意です。これもある種の才能なんでしょう(※1)」
 
26 後はー・・・愛読書なんかあったら聞いてもいいか?好きな本のジャンルでもいいぜ。
「…………ただ本が読めるってだけで別に好きな本なんてありません」
 
27 今の職についた理由とか聞いてもいいか?
「……………………特に理由もありません。ただ文字が読めて呪文を書けたから、それだけのことでしょう」
 
28 じゃあ今の職についてなかったら何をやってたと思う?
「……さあ? 何もやりたいことなんてないしとっとと死んでいたかもしれませんね」
 
29 そうか……次は現在の目的、目標を聞かせてもらってもいいか?
「こんな人生、さっさと終わりにしたいと常々考えてます。そもそも人生って生きるに値しますか?」
 
30 ……とても深刻だな。何か悩みがあるのかい?よければ聞かせてもらいたいな。
「…………あなたに話したところで解決しませんから。それに、僕はあなたを信用していないんです」
 
31 お前さんの好きな言葉はなんだい?
「…………髑髏」
 
32 物騒だな、じゃあ次に好きなことやものを教えてもらってもいいか?
「……………うさぎやプチが好きです………………男の癖にと馬鹿にするでしょうけど」
 
33 じゃあ嫌いなものは?
「……人間が嫌いです。みんな僕を嫌って死人同然のように見るんだから僕にも人間を好きになる義理なんてないんですよ。気付けば誰にも嫌われるようになっていた。僕が一体何をしたって言うんですか。あなたも僕のこと嫌いでしょう? 僕が心を開けば開くほどみんな嫌っていくんです」
 (ゲールトは涙目でまくし立てた)
 
34 面倒くさいやつだな……………そういえばお前さん料理できるのか?できるなら得意料理も教えてくれ。
「…………料理は苦手です。パン屋に行くたび店員に嫌な顔をされるのでいい加減自分で料理くらいできた方がいいんでしょうね。暴食をするのですぐに手持ちの食料がなくなりますから」
 
35 なるほどね、それじゃあ好きな食べ物は?
「…………僕は食べることが別に好きなわけじゃないんですよ。それなのに暴食をやめられないのも矛盾している話でしょう…………好き嫌いなんてなくなってしまいました(※2)」
 
36  そうか。一応聞いておくが嫌いな食べ物は?
「…………あの、好き嫌いなんかなくなったって言ったでしょう? 強いて言えば吐きにくいものは嫌です。食べ過ぎてお腹があまりに苦しい時はアルコールで無理やり吐くんです」
 
37 それは悪い癖だな。好きな場所とかお気に入りの場所とかあるかい?あるなら少しだけ教えてくれよ。
「…………棺の中にいると落ち着きます。それか、アイアンメイデンの中か」
 (情報屋はかける言葉を失った)
 
38 お前さん、異性や同姓でもいいや、好きなタイプとかいるかい?
「…………壊れそうなほど儚くて美しくて、いつも不安そうに僕を見守る……そんな母さんが初恋の人でした。実の母に恋するなんて気持ち悪いと思うでしょう? でも、安心してください。全部過去のことですから」
 
39 それじゃあ嫌いなタイプはどんな奴だ?苦手でもいいぞ。
「………………今となっては母さんみたいな女が特に嫌いなんです。男にひたすら従順で、どんな男にも身体も心も許す、そんな女を死ぬほど憎んでいます」
 
40 あー……そうだな、そうだそうだ。恋人やパートナーはいるかい?どんな奴だ?
「いません」
 
41 結婚してるかい?
「してません。あなたはバカなんですか?」
 
42 結婚といえばラファエロっているだろ?あの嫁を買い取る奴だよ。あいつのことどう思う?
「…………ラファエロって異国の画家のことじゃないですか? 嫁を買い取る奴とかそんな奴知りません」
 
43 もう結構質問も進んだな、そろそろ酔いも回ってきただろう?そういえばお前さんは酒は強かったか?
「…………ザルのつもりです。でも金がかかるので好きでもありませんね」
 
44 なるほどね、しかし流石にここは酒場だな、あちらこちらで気持ちいいことをやり始めやがる。あんたは気持ちいいことについてどう思う?
「気付けば頭を支配されてる。気持ちいいことをしたくて仕方なくておかしくなりそうになるんですよ、でもできないんです。人と気持ちいいことなんて気持ち悪くて恐ろしい(※3)」
 (ゲールトはこの世の終わりのような顔で頭を掻きむしり始めた)
 
45 おいおい、落ち着け。それじゃあ話題を変えようか、朝起きて最初に必ずすることとかあるかい?
「…………×××をします。お陰さまで毎日朝から疲れてますよ」
 
46 じゃあ寝る前に必ずすることはあるかい?
「必ず……ではないけど、時々アイアンメイデンの中に入ります。全身を串刺しにされて死ぬギリギリのところでやめるんです……別に痛いのが好きというわけじゃないんです。そんな性癖はありません(※4)」
 
47 は、はあ。なるほどね、後は眠れない時とかお前さんは何か気分転換とかするかい?
「………………裏庭に掘った墓穴で棺桶に入って寝ます。そうやって死人になったらどんな気持ちなのか考えを巡らせるんです」
 
48 おいおい、陰気だなあ…………じゃあストレスがたまった時にどうやって解消する?
「………………これまで話したとおり、アイアンメイデンの中で寝てみたり棺に入ってみたり、死体の真似をすることばかりしています。あとは地下室の狭い穴で睡眠薬をたくさん飲んで眠るとか。でも、別に死ぬことに興奮するわけじゃないんです……あなたもいい加減こいつ頭がおかしいと思っているでしょうけど」
 
49 発想が暗くてこちらまで気が滅入ってくるぜ。それじゃあ次はお前さんの旅について聞いてみよう。旅に出るときに絶対に持っていくもの、必需品とかあるかい?
「……………………棺桶とエロ本」
 
50 そうか。次はお前さんの得物についてだ、その誇らしげに掲げているものだよ。どういった武器なんだ?エピソードなどもあるなら聞かせてもらいたいな。
「この《骨しかない敗北》という銘の短弓は生きていて血を吸うことで育っていくらしいです…………一度、自分の腕を深く切って血を飲ませてやろうとしたことがあるんですが、ポーション3本ほどの血を飲ませたのに大して育たなかったのでガッカリしました。……今、こいつバカだと思ったでしょ?」
 (情報屋は「バカだこいつ」と思わずにいられなかった)
 
51 次は防具についても聞こうか、こちらも何かエピソードとかあるか?
「この《中立の青》というお守りは宝の地図の通りに土を掘ったら出てきました。呪いの言葉から保護してくれるというんですが、着けていたら物音がうるさくていちいち気になるんですよ。雑音で呪いの言葉が聞こえなくなってるだけですかね? これ」
 
52 お前さんがそう思うのならそうなんだろう。他にどんなレアな代物を持っているんだ?
「お年玉で貰ったグールドのピアノが家にあります。どうせピアノなんて弾かないので宝の持ち腐れです」
 
53 仲間などを連れているか?よければ簡単に紹介してくれ。
「この子は黒猫のソラノンです。この子は野うさぎのリスミー。……うさぎは僕にとって精神安定剤みたいな存在です。家には猫のゴルハート、プチのビオフェルミン、コデイン、ムコダインがいます…………プチたちの名前の由来? それは聞かないでください」
 
54 お前さんは何か特定の信仰はあるかい? どの神を信じてるんだ?
「幸運のエヘカトルを。幸せになりたくて信仰してると思うでしょ? でも違うんですよ。運の気まぐれで僕の全てを終わらせる不幸が降りかかることを願っています。あの女神はそういうやつですから、きっと望みはあるはずです」
 
55 信仰の動機が冒涜的だな。それ以外に、信じているもの(こと)はあるかい? それは何だ?
「生命には必ず終わりがやって来る…………終わりがあることは救いですから………………不死者? そんなの存在そのものが絶望ですよ。生命がないのに終われないなんて考えるだけでもおかしくなりそうです」
 
56 あんたも秘密のひとつやふたつもはあるだろ? ここだけの話、聞いてもいいかい?。
「………………最初に見せた顔の傷。実はあれ……自分でつけたものなんですよ。ハァ、世界で一番嫌いな人間に似た顔で生きなけりゃならないなんて、耐えられなかったんですエグッヒッ」
 
57 そうかそうか、親に貰った身体を傷付けるなとか野暮なことは言わないぜ。ついでに苦手なものとかあるか?
「…………ピアスの穴を開けるのが苦手です。苦手なのに何で着けているのか? 僕にもそんなことわかりませんよ」
 (情報屋はゲールトの耳に付けられたいくつもピアスを二度見した)
 
58 まあ、自分の体は大事にしろよ。あんたはどのギルドに所属してるんだ?
「魔術士ギルドです。一応は魔法使いですし」
 
59 あんたは集団戦とか得意かい?もし集団戦するならどこらへんが得意だ?
「他人と協力して戦え? そんなの僕なんかに無理ですよ……コミュニケーションすらままならないのに」
 
60 あんたの周囲の人はどんなやつだ?(よその冒険者でもペットでも)
「人間はみんな僕を嫌いなんです。最初は良くても深入りすれば段々嫌われる。その繰り返しです」
 
61 その中で「好き」または「相性がいい」と思うやつはいるか? 良ければ聞きたいな。
「僕を好きになってくれない人を好きになってやる義理があると思いますか? そんなものないでしょう。それに、僕は聖人君子じゃありません」
 
62 また、「嫌い」または「相性が悪い」と思うやつはいるか? 問題なければ聞きたいな
「……人間はみんな嫌いです。もちろんあなたも嫌いです」
 
63 そうか……ひどいな。ついでに、「こいつは変だ!」と思うやつはいるか? どんなやつで、どこが変ですか?
「……率直に言うと、僕はあなたこそ変なやつだと思ってますよ。仕事だとしても、よく僕なんかの話を聞いていられますね。つらくないんですか?」
 
64 正直、俺もつらいぜ。他人から、自分はどんなやつだと思われていると思うんだ?
「…………皆はきっと僕のことなんて死人同然だと思っているのでしょう。きっと」
 
65 ライバルはいるか? そいつのことをどう思うんだ?
「こんな僕に張り合う相手がいるとでも? いつでも孤独ですよ」
 
66 一番大切なこと(もの)は何だ?
「…………さあ? そんなもの、忘れてしまいました。ここには何もない男がいるだけです」
 (ゲールトは3本目のタバコを取り出して火を点けた)
 
67 エーテル病についてどう思う?
「……子供の頃はものすごく運が悪い人間だけがかかる病気だと思っていましたね。でも……そんなことはありませんでした。あれは誰にでも降りかかる悲劇なんです。きっと。まるでこの世界が僕たちを排除して滅ぼすために仕組んだみたいです」
 
68 変異についてどう思う?特に人肉嗜好についてだな。
「人肉食は気持ち悪い。そう思います。でも……みんな死ねばただの肉塊になるというのに、どうして人間を食べることだけ特別扱いしなくちゃいけないんですかね? そう思うことがありますよ。人間を食べれば少しは人間嫌いも治るかと思ったことがあるんですが、きっと無理でしょうね」
 
69 お前さん、時々とんでもない毒を吐くよな。必殺技や切り札があるかい?よければ聞かせてほしいな。
「はあ、よくわかりませんがそんなものがあれば苦労しませんね」
 
70 欲しいものはあるか? それは何だ?
「……ギロチンが欲しいです。あれ、一度試してみたくて仕方ないんですよ。ギロチン台で寝てみたい……試したい……きっと最高の寝心地じゃないですかフヒヒッ」
 
71 いやいや、お前死ぬぞ? 他人と比べても、これだけは負けない、というものは何だ?
「…………はあ、そうですね。負けっぱなしの人生なのに。そんなものありません」
 
72  これだけは許せない、ということは何だ?
「………………娼婦。特に貞女のフリをした娼婦が許せません。そんな奴の元に生まれた子がどんなに不幸なことか。あなたにはわかりませんよね?」
 
73  今まで行った場所の中で、一番遠いところはどこだ?
「……此処が一番遠いところです。もっと遠くに行けたらいいんですけど」
 
74 今まで行った場所の中で、一番良かったと思う場所はどこだ?
「……レシマス。運命なんて信じちゃいませんが、運命の鼓動を此処にだけ感じたので」
 
75 今まで生きてきた中で、一番の自慢話をしてもらってもいいか?
「カリグラフィーのノートが5冊になりました。見せる人なんていませんが」
 
76 今まで冒険してきた中で、一番印象に残っている出来事を聞いてもいいか?
「…………僕を嫌いになった店主たちがただ嫌いという理由で売り物の値段を吊り上げてきたんです。不快になった分余分に金を払えと」
 
77  それはひでえな。気持ちはわからなくもないが。今まで生きてきた中で、謎として残っている出来事を聞いてもいいか?
「何故僕は僕という自我をもって生まれてしまったのか。何故僕は嫌でも僕という意識を失えず生きているのか。何故僕は死にたくても自殺できないのか。何故死ぬのが怖いのか。ずっとずっと考え続けています。答えは出そうにありませんが」
 
78 今までの人生で、最大のピンチは何だった?
「……………………メイルーンにいた頃、魔術士学校で授業中にお腹を壊してしまったことがあるんですよ。ひどい腹痛だったけど、トイレに行けない授業だったからただ我慢するしかなくて(※5)」
 
79 どうやって切り抜けた?
「……切り抜けられませんでした。何があったかは説明する必要もありませんよね。それを期にその学校は辞めてしまいました」
 
80 ああ、察したぜ。今まで言われた中で、衝撃的な一言を聞いてもいいか?
「…………お前のところの母親が男をとっかえひっかえしている。そう聞かされた時はあまりに衝撃的で世界が壊れる心地でした。それで、誰も信じられなくなりました」
 
81 今まで生きてきた中で破壊した、一番大きなものは何だ?
「……腹違いの妹(※6)を殺しました。母さんから彼女とその母親の悪口をずっと聞かされていたから、どうしても好きになれなくてひどいことを言ったしひどいこともたくさんしました。そうしたら、妹は遺書を残して失踪してしまったんです」
 
82 それは破壊してもいいものだったのか?
「…………ダメでした。彼女は『ゲルトルート』という僕によく似た名前で、顔まで似ていて、鏡像みたいな存在だったから余計に嫌いだったけど、死んでほしいとまでは思っていませんでした。妹にしたことの全てを後悔しています」
 
83 過去の犯罪行為をあったらひとつ言ってくれ。
「…………もういいでしょう? これが僕の罪です。強いて言うなら、妹以外の人間の死には心が動かなくなってしまいました。この手で人を殺しても心は動きません」
 
84 「人生を決めた」と思う選択をひとつ教えてくれ。
「……実家を出ると決めたこと。あんなに好きだった母さんを信じられなくなって、僕は精神を病んでいくばかりでどうしようもなくなって……あんな場所では死にたくないと思ったのですよ」
 
85 もう絶対にここには行かないって場所はあるか? よければ理由も教えてくれ。
「実家には二度と帰りません。母さんがあの男に依存して暮らし続けている場所だから」
 
86 思い出したくもないような体験をひとつ教えてくれ。
「ゲルトルート以外の兄弟が全員父親の違う子供だということが分かった日のことは思い出したくありません………………あの女は僕のこともただ父さんの身代わりにしていただけで、一人の人間として尊重なんてしていなかったんですよ」
 
87 今まで戦った中で、一番手強かったもの(人)を教えてくれ。
「そんなクズみたいな女から引き継いでしまった血が一番手強いものですよ。死ぬまで戦い続けなくちゃいけないのですから」
 
88 死にかけたことはあるか? よければ原因を聞いてもいいか。
「………………先程、生きた短弓の話をしましたよね? あの弓に血を飲ませようと腕を深く切ったら血が止まらなくなって、それで貧血を起こして倒れてしまったんです。それで頭を強くぶつけて……うあ゛っ! 熱っ!!!」
 (タバコの火がゲールトの指を焼き始めた。情報屋は「やっぱりバカだこいつ」と思わずにいられなかった)
 
89 お前さん、やっぱりバカだろう。それはそうと神にあったことあるか?
「ありません。そんなに信心深い人間じゃないので」
 
90 自分はどんな死に方をすると思いますか? または、どんな死に方をしたいか?
「……………………自殺を完遂する前に事故死する。何だかそんな気がします。僕はきっとバカみたいな死に方をするんでしょう。あなたもそう思っているはずです。いつか僕の死亡記事を読んだら盛大に笑って祝ってください」
 
91 人が死んでるのに祝う? それはまっぴらだな。幸せを感じるのはどんな時だ?
「うさぎをモフモフしている時…………そういえばリスミーというのは異国の睡眠薬の名前なんですよ。彼をモフモフしていると安眠できるので」
 (ゲールトはおもむろに野うさぎのリスミーを抱きあげて吸い始めた)
 
92 ひとつだけ願いが叶うとしたら、何を望む?
「…………そうですね。モフモフしたうさぎの群れに埋もれてそのまま死にたい。そうしたらきっと幸せです」
 
93 その願い、叶えばいいな。憧れる、または尊敬する人はいるか? どんな人だ?
「尊敬する人間なんていません。親を尊敬しているとでも言うのが正解なのでしょうが、生憎尊敬できる親の元に生まれた人間じゃありませんから」
 
94 子どもの頃、将来なりたいものは何だったんだ?
「母さんを守れる強い人間になりたい。そう思っていました。今考えるとヘドが出ます」
 
95 それは叶ったか?
「…………僕のことをバカにしているんですか? 叶うも何も、根本から間違っていた願いだったんですよ!」
 (ゲールトはぼろぼろ泣き始めた)
 
96 (1時間経過)まあまあ、そんなに泣くなよ。今の自分は好きか?
「……とても嫌いです。でも、これ以上嫌いになりたくないんです。ただただつらいだけなので」
 
97  守りたいものはあるか? 内容を言う/言わないは任意でどうぞ。
「リスミーやプチたちを守りたい。この子たちがいなかったら僕は……僕は…………」
 
98 あんたにとって「冒険」とは何だ?
「……死に場所探しですかね。そうとしか言えません」
 
99 あんたの周囲の人、自分の作者などに向けて、言いたいことをどうぞ。
「どうせなら、いい死に場所が欲しいです」
 
100 お疲れさまでした。最後に一言どうぞ。やっと終わりだぜ。
「………………やっと終わりですか。本当に、こんな人間に付き合わせてすみません」
 
 「ありがとな、これでいい記事が書けそうだ。こいつは俺の奢りだ」
 そういって情報屋は店で一番高級なクリムエールをあなたの前に置くと、立ち去っていった。
 店を出た情報屋は途方もない疲労感に襲われた。
「柄にもなく疲れた……あいつとは二度と話したくねえな」
 


 ※1 マイナスフィート:バッドコミュニケーションのせい
 ※2 マイナスフィート:暴食のせい
 ※3 マイナスフィート:気持ちいいこと不可&性依存のせい
 ※4 食いしばりフィート取得のためアイアンメイデンに入っても即死しない
 ※5 妹に毒を盛られたせい
 ※6 ゲールトは背徳の髑髏『ゲルトルート』の腹違いの兄

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えろな自PCの100質問(アリソン編)

 今回の回答者は暗がりに住む詩人『アリソン』(カオスシェイプピアニスト♀)です。冒険者wikiに記事はまだありません。
 彼女はデータ上で頭が生えていないのもあって顔がありません。あと、滑舌と頭はあまり良くありません。
 ピアニストだということもあって指が多めに作ってある。


 
 
 馴染みの情報屋が頭に暗いベールを被った女の元に近づいてきた、相変わらずへらへら笑っている。
 「やあこんなところに来るなんて久しぶりじゃないか。え、今は依頼中だって?そんなに急ぐなよ、上等のクリムエールも用意しているから向こうで飲もうじゃないか」
 「そういえばお前さんもだいぶ偉くなったみたいだな、こっちまで名声が届いてるよ。どうした?あー本題にいけってかそりゃすまない。お前さんのことを知りたいって奴がいるからちょっとばかし記事を書いてくれないかって頼まれたんだ、よければ協力してくれないか?手間賃はそこの酒でいいぜ。」
 「よしわかった、ありがとう。ちょっとばかし長いから覚悟してくれよな」
 
1 まずは名前を聞こう。
「えー、『アリソン』と言います。あと、『暗げえ(暗がり)に住む詩人』というあだ名があるみたいです」
 
2 いい名だな、なんか所以があるのか。
「何も意味はないんです。外国でいう太朗くんみたいなものなんですから。あだ名は家がいつも暗いからじゃないですかねえ」
 
3 ところで。読者はお前さんをなんて呼べばいいかい?ほら!あだ名とかだよ。
「私は、別にアリソンじゃなくてもいいんです。アリスでも、アリーでも……アリシアでも、構わないんです。あなたの好きにしてください」
 
 
4 困ったな、アリソンでいいか?そういえばお前さんはどこ出身だっけな。
「えー、忘れてしまいました。意識が生まれた時はどこかの森にいましたねえ。それから形が変わった人だけの村でしばらく暮らしていました。でもその村は子どもが産めない人しかいなくて滅んじゃったんですよー。私が追い出されてから暫くのことです」
 
5 ついでに聞いておこう、種族と性別もだ。いや、最近はエーテル病で色々あるからな確認だ。
「カオスシェイプと言われる種族ですよお。人間の女性のような姿ですから多分、女性でしょう」
 
 
6  次は生年だな、何月に生まれて今何歳だ?
「そんなこと知りませんよー。エーテルの風が吹いていたから、3月かもしれない、雨が降っていたから6月かもしれない。年齢は多分43才くらいじゃないですかあ。いや、44才かも」
 
 
7  こんな項目もあるな、髪と目、肌、あとは服の色、さらに外見的特長を書けって書いてあるな、どうだ?お前さんの自己申告でいいぜ。
「上半身は指が生えたヨタカの翼以外が人間の姿で下半身は鳥の足に二股の尾羽が生えていますねえ。髪は赤紫混じりの暗い茶色。あ。顔はないんですよお、前髪をいくら捲っても無駄です。見ちゃいけませんよー」
 
8 よく見ると服装いいじゃねえか、何かこだわってるのか?
「ベールとかコルセットって人間の女性らしくていいですねえ。茶色や黒はヨタカみたいなのでプリムラみたいな青の服を着たりしています」
 
9 そういえばお前さんの利き手はどっちなんだ?
「あ。右です。多分」
 
10 後はそうだな・・・・・・身長と体重も聞いてもいいか?
「身長は160cmくらいです。あとはミルクを飲んでフラフラなのでちょっとわかんないです(※1)」
 
11 …………OK、わかった。家族構成って聞いたことないな、どんな感じなんだ?
「えー。物心ついたときから父も母もいませんでしたよー」
 
12 それで今どこに住んでるんだ?
「パルミアの北に住んでいますねえ」
 
13 いいところだな、しかもお前さんの稼ぎだから小城とかに住んでるんだろう?(家の大きさなど)
「そんなー。おんぼろアパート程度の大きさですよお」
 
14 お気に入りの家具とかあるかい?
「ピアノがお気に入りですねー」
 
15 あとは冒険者といったら家に人を雇ったり住まわせたりしてるのが相場だが・・・・・・お前さんもそういうのはいるかい?
「緑色の女の子の幽霊が、いっぱいいるんですよお。鏡を見たらいっぱい、それも(※2)」
 
16 OK、ありがとう家についてはこれでラストだ。何階建てだ?
「1階建てですねえ」
 
17 次はお前さん自身についてだ、ずばりお前さんの性格を自分で表すとどんな感じだ?
「ヒクツとよく言われますが、ヒクツって何でしょうか。褒めているんでしょうかねー」
 
18 …………次はお前さんの長所だ。
「こんな時は『わたしに長所なんてありません』と言うのが昔いた村のオキテだったんですよお。でも、長所ってどういう意味なんですかねー」
 
19 ……なんて村だ。次は短所も言ってみようか。
「えー。短所ってどういう意味なんでしょう。頭が足りないのでちょっとわかんないです」
 
20 …………すまなかった、あとは口癖とかあるかい?
「んー。特にないですよー」
(情報屋は『間延びした口調』とメモに記した)
 
21 ああ!これを聞くのを忘れてたぜ。ほら!お前さんの職業だよ。すまねえな、聞かせてもらえるかい?
「ギルドにはピアニストとして登録されていますねー。頭が足りなくても指はたくさんあるのでピアノは弾けるんです」
 
22 なるほど、で普段はどこを拠点で活動してるんだ?
「だいたいはパルミアからヴェルニースの辺りにいますねー」
 
23  じゃあお次はそうだな・・・・・それ以外で普段は何をしてるんだ?(副業など)
「ピアニスト以外は歌うたいとモンスター駆除もしていますねえ。あとは卵取りもしているんですよー」
 
24 趣味を聞かせてもらってもいいかい?
「卵を食べることですかねー。オムライスを作るのは難しいです」
 
25 次は特技だな、何かあるか?
「卵を丸呑みするのは得意ですよー。ミルクを飲んで大きくなったり小さくなったりするのも得意です」
 

26 後はー・・・愛読書なんかあったら聞いてもいいか?好きな本のジャンルでもいいぜ。
「『見るな』と『目が回る』ですねー」
 
27 今の職についた理由とか聞いてもいいか?
「あー。それが、わからないんですよー。人間の女性のような姿になったときから歌うたいでした。この姿になる前にヒトの脳を食べたせいでしょうかねえ」
 
28 ははは、冗談がきついな。じゃあ今の職についてなかったら何をやってたと思う?
「卵とミルクを集める仕事をしていたんじゃないでしょうかねえ」
 
29 次は現在の目的、目標を聞かせてもらってもいいか?
「せめて、人間らしくありたいと思うんです」
 
30 何か悩みはあるかい?よければ聞かせてもらいたいな。
「ほら、私って顔がないじゃないですか。だから、『ヒョウジョウ』と言えばいいんですかね、あれが、作れないんです。うれしくてもかなしくても伝えられない。あと、前に会った女の人には『自分の顔が描けないなんて自我がないのと同じ、顔が人そのものだから』と言われたんです。この言葉を聞くと、かなしいのは何で?」
 
31 …………質問の続きだ、お前さんの好きな言葉はなんだい?
「暗げえ、暗げい……暗がりっていい言葉ですよねえ。何度言っても間違えるんですが。そういえば、海にはクラゲっていうガラス細工みたいな生き物がたくさんいるらしいですねー。一度触ってみたいです」
 
32 (その感性がわからないな……)じゃあ次に好きなことやものを教えてもらってもいいか?
「形のないもの、崩れたもの、ゼラチンのかたまり。卵のなかみ。ミルク」
 
33 じゃあ嫌いなものは?
「顔。この世界に顔なんてものがなくなってしまえばいいのにと思っています」
 
34 あー……そうだな。そういえばお前さん料理できるのか?できるなら得意料理も教えてくれ。
「目玉焼きは得意ですよー。オムライスは難しいです」
 
35 なるほどね、それじゃあ好きな食べ物は?
「卵が好きです。卵のなかみですよー。あと、パルミアやルミエスト産の花を使った口紅とか化粧品はおいしいです」
 
36 は……?それなら嫌いな食べ物は?
「チーズはあまり好きじゃないですねえ。それからダルフィ産の化粧品はあんまりおいしくないです。砂みたいなんです」
 
37 …………は、はあ。次は、好きな場所とかお気に入りの場所とかあるかい?あるなら少しだけ教えてくれよ。
「ポート・カプールが好きなんですよー。前にクラゲの群れを見たんです。触ってみたいですねえ。でも泳げないんです」
 
38 お前さん、異性や同姓でもいいや、好きなタイプとかいるかい?
「うーん。まずは私と同じように顔がなくて、体が幽霊のように透明で形がなくて、月のように透けた帽子と髪の毛に花みたいにきれいな赤やピンクのメッシュが入った人が好きです」
(情報屋はどんな人だよ…と頭を抱えた)
 
39 それじゃあ嫌いなタイプはどんな奴だ?苦手でもいいぞ。
「顔があって、形があって、骨がある人」
(情報屋は考えるのをやめた)
 
40 恋人やパートナーはいるかい?どんな奴だ?
「髪の毛が緑色の女の子の幽霊たちはパートナーですよー。卵も持ってきてくれるんです」
 
41 結婚してるかい?
「幽霊と結婚できるんでしょうか?できるならしたいですねえ」
 
42 結婚といえばラファエロっているだろ?あの嫁を買い取る奴だよ。あいつのことどう思う?
「そんな人いたんですねー、知りませんでした」
 
43 もう結構質問も進んだな、そろそろ酔いも回ってきただろう?そういえばお前さんは酒は強かったか?……大丈夫か?
「……3分ほど寝ていました。お酒を飲むと眠くなるんですよお。ミルクのように頭が溶けていく、ふらふらぐらぐら」
(アリソンは目を覚ました)
 
44 なるほどね、しかし流石にここは酒場だな、あちらこちらで気持ちいいことをやり始めやがる。あんたは気持ちいいことについてどう思う?
「気持ちいいことはいいことだと思いますよお、みんな頭をいじってずっと気持ちよくなればいいです。そんなお薬ってあるんでしょうか……?」
 
45 …………それじゃあ話題を変えようか、朝起きて最初に必ずすることとかあるかい?
「起きる時はいつも足の爪を毛布に引っかけるんです。え、朝ってむしろ寝ている時間じゃないんですかぁ……?午前中はいつも無理です」
 
46 じゃあ寝る前に必ずすることはあるかい?
「いつもミルクを飲んでいます」
 
47 なるほどね、後は眠れない時とかお前さんは何か気分転換とかするかい?
「ミルクに、睡眠薬を混ぜて飲むんです。それから時計を並べて数えていると、窓から夜が部屋に押し寄せてくるんです」
 
48 じゃあストレスがたまった時にどうやって解消する?
「卵を集めるんです。それから数えるんですよー」
 
49 OK、それじゃあ次はお前さんの旅について聞いてみよう。旅に出るときに絶対に持っていくもの、必需品とかあるかい?
「卵はいつも持っています。ミルクも」
 
50 次はお前さんの得物についてだ、その誇らしげに掲げているものだよ。どういった武器なんだ?エピソードなどもあるなら聞かせてもらいたいな。
「このギャルのパンティーですかねえ。『酔っ払った死』という名前らしいです。これがアンデッドによく効くんです」
 
51 次は防具についても聞こうか、こちらも何かエピソードとかあるか?
「この指輪は適当に選んで着けているんですよー。特にエピソードは知らないですねえ」
 
52 他にどんなレアな代物を持っているんだ?
「あ。人を酔っぱらいにするピアノが家にあります。でも、弾いてみたら周りの人が吐いてしまいました」
 
53 仲間などを連れているか?よければ簡単に紹介してくれ。
「この人は少女のクタールスさんとエイリアンのアリアさんです。アリアさんは最近まで私に寄生してました。あとは緑色の髪の毛の幽霊がたくさんいますね。みんなおりこうさんです。それから防衛者のケフフォンさんと黒猫のヌルイン。おりこうさんです」
 
54 お前さんは何か特定の信仰はあるかい? どの神を信じてるんだ?
「ちょっと前は少しジュア信者でした」
 
55 それ以外に、信じているもの(こと)はあるかい? それは何だ?
「特にないですねえ。信じることは、いつか崩れていくんです」
 
56 あんたも秘密のひとつやふたつもはあるだろ? ここだけの話、聞いてもいいかい?。
「……実は、ルミエストに行くと出るんです…………運河に雪みたいなクラゲがたくさん。私のことなら、こんな頭でもちゃんと目と口はついているんですよお。でも見ちゃいけません」
 
57 なるほどな…………ついでに苦手なものとかあるか?
「泳ぐのは苦手なんです。だからクラゲに触れないんですねー」
 
58 あんたはどのギルドに所属してるんだ?
「魔術士ギルドですよお。頭が足りないのに頭を使うギルドに入っちゃうなんて面白いと思いますよねえ」
 
59 あんたは集団戦とか得意かい?もし集団戦するならどこらへんが得意だ?
「私、あんまり戦うのは得意じゃないんですよお。集団とか無理です」
 
60 あんたの周囲の人はどんなやつだ?(よその冒険者でもペットでも)
「背が高くてやたら怖い目つきの女の人とか、ふわふわした紫紺のお姉さんとかがいますねえ」
 
61 その中で「好き」または「相性がいい」と思うやつはいるか? 良ければ聞きたいな。
「紫紺のお姉さんとは話が合いますねー。顔がないと言っても別に私を怖がったりしませんでしたし」
 
62 また、「嫌い」または「相性が悪い」と思うやつはいるか? 問題なければ聞きたいな。
「背が高くて目つきの悪い女の人、緑の帽子を被った消炭色の人なんです。いつもイライラしていて怖いですよー。私が一方的に嫌われちゃったんですが」
 
63 ついでに、「こいつは変だ!」と思うやつはいるか? どんなやつで、どこが変ですか?
「灰色の女の人はどうしていつもイライラしているんでしょうかねー。背中から骨の翼が生えているのにカルシウム足りないんでしょうか」
 
64 他人から、自分はどんなやつだと思われていると思うんだ?
「…………顔なし。自我なし。がらんどう。でも、それだったら私は何だっていうんですか?そんなの、わかんないですよねえ……」
 
65 ライバルはいるか? そいつのことをどう思うんだ?
「私を、他人のことをライバルと言えるほど価値がある存在だと思います?そう思わないでしょう、ねえ」
 
66 そうか、すまない。一番大切なこと(もの)は何だ?
「感情。だけど、伝えられない感情はないものと思われるんですよお。それでも感情は増え続けるんです。数字じゃ測れない感情が」
 
67 エーテル病についてどう思う?
「私も、エーテルで羽が生えたり足に走るための爪が生えたりしていますからねえ。おかげで少しは生物らしい姿になったんです。あれって本当に『病気』なんでしょうか?」
 
68 変異についてどう思う?特に人肉嗜好についてだな。
「まー、食べることも供養の一つですからねえ」
 
69 必殺技や切り札があるかい?よければ聞かせてほしいな。
「そんなの持ってませんよお。あったら便利なんですけどねえ」
 
70 欲しいものはあるか? それは何だ?
「クラゲに触れて、触れたい。でも触れない」
 
71 他人と比べても、これだけは負けない、というものは何だ?
「そんなの、私にありませんねー」
 
72  これだけは許せない、ということは何だ?
「んー、『何を考えているかわからない』と言われるのはかなしいですねえ」
 
73  今まで行った場所の中で、一番遠いところはどこだ?
「妹の館という場所は遠かったですねえ。あそこは幽霊がいっぱいなんです。それはもう家を埋め尽くすほどに」
 
74 今まで行った場所の中で、一番良かったと思う場所はどこだ?
「ポート・カプールでしょうかねえ。クラゲに魅入られて海をずっと見ていたら『命を粗末にするな』とおじいさんに怒られちゃったんですが。クラゲを見ていただけなのに」
 
75 今まで生きてきた中で、一番の自慢話をしてもらってもいいか?
「ピアノを弾いて歌を歌ったらおひねりをもらったこと」
 
76 今まで冒険してきた中で、一番印象に残っている出来事を聞いてもいいか?
「妹の館でたくさんの幽霊に囲まれたことでしょうか。でも、ピアノは聴いてくれました。幽霊でも歌で意思疎通はできるんですねえ」
 
77  今まで生きてきた中で、謎として残っている出来事を聞いてもいいか?
「私が、こんな不完全な身体に生まれた理由ですかねえ」
 
78 今までの人生で、最大のピンチは何だった?
「前に住んでいた村で、オキテを破って追い出されたことです。仲間の前では自分の見た目を貶さないといけないというオキテでした」
 
79 どうやって切り抜けた?
「村に戻るのは無理でした。とにかく森を歩いて、歩いて、歩いて、歩き続けたんです。その途中でヨタカの死骸や卵を食べたりしましたねえ。あとはトカゲとかカエルとか」
 
80 今まで言われた中で、衝撃的な一言を聞いてもいいか?
「『自分の意思表示ができないなんて自我がないのと同じ。だから殺されてもいい』『お前は人の形をしていない。心がないんだ』」
 
81 今まで生きてきた中で破壊した、一番大きなものは何だ?
「私が生まれたことそのものが、何かを壊してしまったと思うんです。そうですね。私は、最初から壊れていました」
 
82 それは破壊してもいいものだったのか?
「そうですねえ。最初から壊れていたら、それは壊れていないのと同じじゃないでしょうか。え、違うんですか?」
 
83 過去の犯罪行為をあったらひとつ言ってくれ。
「毎月、納税ってあるじゃないですかあ。あれをいつも忘れそうになるんです。うっかりと」
 
84 「人生を決めた」と思う選択をひとつ教えてくれ。
「この意識を初めて持った時、怪物だとしても死なずに生きると決めたことでしょうか」
 
85 もう絶対にここには行かないって場所はあるか? よければ理由も教えてくれ。
「灼熱の塔は行きたくないですねえ。あまりの暑さに心も身体もクシャンとなってしまいましたぁ……」
 
86 思い出したくもないような体験をひとつ教えてくれ。
「酔っぱらいに『顔を見せろ』と無理やりベールを捲られて前髪を掴まれたことがあるんですよお。その人がどうなったか……?それは永遠に秘密です」
 
87 今まで戦った中で、一番手強かったもの(人)を教えてくれ。
「もちっていう食べ物あるじゃないですか。あれは手ごわかったですよー。卵みたいに飲み込めると思ったらそうじゃないんです」
 
88 死にかけたことはあるか? よければ原因を聞いてもいいか。
「鏡もちは手ごわかったですよお、普通のもちよりも。それはもう。死にそうになるくらい」
 

89 神にあったことあるか?
「うーん、それはないですねえ」
 
90 自分はどんな死に方をすると思いますか? または、どんな死に方をしたいか?
「うーん、そうですねえ。私の抜け殻を剥製にして遺してくれる人がいたらいいと思っているんです」
 
91  幸せを感じるのはどんな時だ?
「眠っているとですねえ、時々夢を見るんです。ぐちゃぐちゃの姿に生まれた私をそれでも我が子として愛してくれた人の夢を…………夢の中でその人が言うんですよお。『例え人の形をしていなくても、すぐ死んでしまう命だったとしてもこの子は確かに生きている、私の娘だ』って…………」
 
92 そうか…………ひとつだけ願いが叶うとしたら、何を望む?
「そうですねー。この土地を捨てて、月に帰るのもいいですねえ。それか、レシマス近くにある湖のクラゲになりたい。あそこ、3月頃にクラゲが大量発生するんですよ。夜空からふわふわ降ってきた月の欠片みたいに」
 
93 憧れる、または尊敬する人はいるか? どんな人だ?
「『普通の女の子』っていう生物を見ていると憧れちゃいますねえ。もし私が顔がある普通の女の子だったらどんな風になっていたかなと思っちゃいます」
 
94 子どもの頃、将来なりたいものは何だったんだ?
「ただ、鏡を見て笑えるようになりたかった」
 
95 それは叶ったか?
「それが、今も鏡を見て笑えないんですねー。顔がないから」
 
96 今の自分は好きか?
「昔と比べて、少しだけ好きになれた気がします」
 
97  守りたいものはあるか? 内容を言う/言わないは任意でどうぞ。
「さっき話した夢の記憶です。嘘かもしれないけれど本当だったらうれしいですねえー」
 
98 あんたにとって「冒険」とは何だ?
「ただただ、生きることですねえ……」
 
99 あんたの周囲の人、自分の作者などに向けて、言いたいことをどうぞ……って寝ているじゃないか。
「………………」
 
100 お疲れさまでした。最後に一言どうぞ。
「…………また、遊んでくださいねー……」
 
 
 
 「ありがとな、これでいい記事が書けそうだ。こいつは俺の奢りだ」
 そういって情報屋は店で一番高級なクリムエールを居眠りする女の前に置くと、立ち去っていった。
 その後、通りすがりの酔っぱらいが彼女のクリムエールを飲み干してしまった。
 
「………………」
 


 ※1 アリソンの身長と体重は変動が多い。
 ※2 緑の幽霊=だいたい妹

 

グレーテルの冒険者観察にっき(1ページ目)

 
 (まえがきのようなもの)
 この文章の内容は、管理人のElonaPC(紫をまとう骨『グレーテル』)が書いたイルヴァの冒険者の観察メモ(という設定)になっています。主にこれとかこれのリッチ魔法使い。
 管理人がTwitterでいつもお世話になっているフォロワーさんの冒険者を雇わせていただくという性質上、いわゆる身内ネタの要素が極めて強いので留意していただければ幸いです。
 冒険者たちの特徴や印象は冒険者ギルド出張所の各記事、フォロワーの皆さまのツイートやイラストなどを参考にさせていただきましたが、一部に管理人の想像も含んでいるので留意ください。
 

  
 ○月○日
 ノースティリスにやって来てから、たくさんの冒険者に出会うようになりました。最初は冒険者に興味なんて持てなかったのだけど、色々な冒険者がいてそれが不思議だなと思うようになってきたのです。
 でも、わたしは忘れんぼうなので冒険者がどんな人だったか覚えられません。
 だから、出会った冒険者のことをこの日記に書いていこうと思います…………途中で飽きなければいいのだけど。
 あと、やっぱりその他のこともメモ代わりに書いていると思います。
  
 ×月×日
 気が付くと、最後の日記を書いてから一ヶ月経ってしまいました。
 冒険者のことを日記に書こうと思ったけれど何を書けばいいのかしら。
 出会う冒険者の顔を思い出そうとしても上手く思い出せないのです。名前を聞いてもすぐ忘れます。
 覚えられるのってせいぜい髪型と、髪の色と、あとは背が高いか低いかとかくらいです。それから服の色とか顔に傷があるかどうかとか。
 髪型……髪の色……顔の傷……そうだ。一人思い出せそうです。無理に名前を思い出そうとするから書けなかったんだ。
 昨日パルミアで見たふわふわ浮いている冒険者のお兄ちゃんはわたしが大好きな色の髪をしていました。
 あと、それから、少しエレアの森の匂いがしたので少しだけこっそり追いかけてしまいました……。
 わたしはエレアの匂いが好きなのです。だって、なんだか懐かしいから。
 あと、そのふわふわした冒険者のお兄ちゃんは顔の右半分を怪我しているみたいでした。とても心配です。
 ふわふわお兄ちゃんは、顔が半分壊れていても素敵な笑顔でした。
 そして、きれいな紫色の髪だったので長く伸ばしたらもっと素敵だと思います。
 わたしもかつて顔の右半分を壊されてしまったことがあったから、あのふわふわお兄ちゃんのことが気になったのかもしれません。
 わたしの壊れた顔はお化粧できれいに治せたのだけど、つくりものの右目は今も見えません。
 あのお兄ちゃんも右目が見えないみたいだったのでなんだか気になります。あのお兄ちゃんの髪の毛ほしいなあ。
 
 ×月○日
 今日お話しした冒険者さんは機械の神さまのことが大好きな男の子でした。
 冒険者さんとお話をするのは久しぶりだったのに途中で眠くなっちゃって…少し悪いことをしてしまったなあと思います。
 お話を聞いている間、冒険者さんの髪ばかり見てしまっていたような気がします。だって、とてもきれいに伸びた銀色の髪だったから。機械の神さまのお人形を作る時に使ったらとてもとても素敵になると思いました。
 でも、いきなり髪の毛を欲しいなんて言ったらさすがに変よね……?
 あの男の子は機械の神さまが好きで好きで、好きで好きで好きで仕方ないみたいでした。
 わたしには、あの男の子みたいにすべてを犠牲にしたいと思うまで大好きな神様がいません。
 …………そもそもわたしには、神様に捧げられるものがもうないのでした。
 
 △月○日
 また一ヶ月日記のことを忘れていました。普段のノートを使っていたらどうしてもそっちにメモをごちゃごちゃ書いているうち忘れてしまうのです。
 今日はパルミアで頭に猫の耳が生えた女の子に出会いました。あれは猫……なのかしら?もしかすると犬かもしれません。
 女の子は茶色い髪を三つ編みのお下げにしていました。三つ編みはかわいいです。
 わたしは髪の毛を三つ編みにしようとしてもなかなかうまく行きません。
 なので、いいなあと思いながら見ていました。どうやったら三つ編みってうまくできるのかしら。
 あと、あの女の子は歌屋さんだったようなので今度見かけたらウタを聴きたいなと思いました。
 ここに来てからは動物の耳が生えた冒険者をよく見かけるようになったような気がします。
 それから、動物そのものの姿をした冒険者もたまに見ます。
 
 △月△日
 一昨日見かけた冒険者さんはきれいな紫色の髪でした。紫といっても、黒に近い紫色です。
 わたしはその冒険者さんをきれいな女の人だなと思って見ていました。
 でも、どうやら男の人だったみたいなのです……女の人にとって髪は命だと言いますが、男の人にとっての髪ってどうなのでしょうか。
 あと、あの冒険者さんは何だかとても偉い人だったかのような雰囲気を少しだけ感じました。たとえば、王さまとか。
 もしかして身分を隠していた人だったのかしら。でも、気のせいということにします。
 とにかく何だか不思議な雰囲気のお兄ちゃんでした。何て言ったらいいのかしら。どこかにガケがある……じゃなくてカゲがある雰囲気だと思いました。
 
 △月×日
 またこのノートのことを忘れていました。今日は普段使っているノートのページを全部使ってしまったのでこっちのノートにいつもの日記も一緒に書こう。
 今日はおうちでさつまいもケーキを作っていました。そうしたら、水のせいなのかしら。焼いてみたらエレアの髪の毛みたいな色になってしまいました。
 …………ふと、昨日パルミアで会った目が赤と黄色で髪を二つくくりにした冒険者さんを思い出しました。
 あのお姉ちゃんはこのさつまいもケーキみたいな色の髪の毛だったのです。
 わたしはエレアの髪の毛のにおいが大好きなので、後ろから髪の毛の匂いをかがせてほしいと言ってみたら怖い顔をされてしまいました……。
 でも、あのお姉ちゃんの髪の毛はエレアの森の匂いがしなかったのでどうやらエレアではなかったみたいです。なんだか今までかいだことのない場所の匂いがしました。
 あと、エレア色のさつまいもケーキはおいしかったです。
 
 △月※日
 今日は、喫茶店ではじめてピアニストの妖精さんに出会いました。妖精さんは明るいエメラルドグリーンのきれいな髪の毛でした。
 その妖精さんはちいさな身体でピアノを弾いていました。演奏がとても上手かったので、話しかけようとしたら逃げられてしまいました……。
 妖精さんはわたしの手のひらにおさまりそうな大きさだったので、妖精さんからしたらきっと巨人同然だったのかもしれません……。
 今度あの妖精さんに会った時はびっくりさせないようにしたいなと思いました……また会えるのかなあ。 
 
 ○月×日
 またこのノートのことを暫く忘れていました。何度忘れたら気がすむのでしょう。
 使っていた新しいノートをダルフィでなくしてしまったので今日は普段の日記もこっちに書きます。
 ……最初からそうした方がよかったのかもしれません。
 昨日は、久しぶりにパルミアの喫茶店で朝ごはんを食べました。あの喫茶店はたくさんの冒険者さんがやってくるみたいです。
 昨日向かい側のテーブルに座っていた冒険者さんは髪の毛が淡いエメラルドグリーンで、目が淡い紫色の女の子でした。それから、隣には台車を引いている黒天使の女の子もいました。あの女の子はあの台車に乗るのかしら。
 わたしはゆで卵にハーブの入った塩をかけようと思って塩を取り出しました。そうしたら、あの女の子に一瞬だけ怯えるような顔をされた気がします。
 最初はどうしてなのか分からなかったのだけど、塩のせいだと後から気付きました。
 ……ノースティリスでは塩が大嫌いな冒険者さんをたまに見かけます。
 そうだ、塩が大嫌いな冒険者さんは大体の場合でかたつむりだと聞いたことがあります。
 もしかしたら、あの女の子もかたつむりだったのかもしれません。
 
 *つづきをよむ*
 

 
 *Special thanks*
 0+1日目: 笑え魂『エイトレイド』(しお様) 
 2日目: 白い奴隷『アデラール』(水崎もあ様)
 3日目: 跳ねすぎた癒し手『スーベニア』(うをのぞき様)
 4日目: 罪を背負いし王『フィンネル』(むらむら様)
 5日目: 名も無き冒険者さん
 6日目: 月明かりの幻『ミチル』(鈴蘭様)
 7日目: 誰も知らぬ終わり『サナヤ』、黒天使のトヅカ(ハリネズミ様)

 
雇わせてくださった皆さま、本当に本当にありがとうございました!
 

古びた日記の切れ端

 
 (まえがきのようなもの)
 この文章はElona自PC(グレーテル)の過去っぽいものでした。おおよそリッチ化する前。
 あまり見ていて気持ちいい内容のものじゃないと思います。
 あと、あまりElona要素を盛り込めませんでした。
 

 
 ○月△日
 あの人は、三日前に音楽の演奏会だと言って家を出て行きました。
 今日も、帰ってきません。
 でも、こんなことは前にもあったのです。何度も。
 前も、一ヶ月くらい帰ってこなかったから。きっとそれくらいに帰ってくるんだと思って、待とうと思います。
 そういえば、トゥルーデがぬいぐるみの新しいお洋服を欲しがっていました。新しいのを作ってあげよう。
 それから新しいぬいぐるみができました。これで、あの子も寂しくありません。寂しく…ないはずです。
 ……長い間家を開けるのなら、せめて手紙の一通でもよこしてくれたらいいのに。
 本当は、あの人が帰ってこない理由を知っているけれど。トゥルーデがもしこの日記を読んだらと思ったら書けないのです。
 あの子には、こんなこと知ってほしくないから。
 
 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 
 ×月○日
 今日もあの人は帰ってこない。一ヶ月たっても帰ってこないのです。
 前に帰ってきた時は、わたしの目さえ見てくれませんでした。その前も、そうでした。
 ……この文章を書いていたらお腹が音を立てました。
 そうだ。今日は何も食べていません。お腹は空くのに、食べても美味しいと思えないのです。それから……食べたらいつも暫くすると吐き気がして吐いてしまうから。
 前はまだトゥルーデと一緒に食事をするのが楽しかったのに、最近は食べるのがとてもつらくてつらくて仕方ありません。
 食べても吐いてしまうのに、食べる意味なんてあるのかしら……?
 でも、食べないと身体は弱っていく一方です。栄養が足りないからなのか、爪もぼろぼろになってしまいました。
 そして、鏡を見たら前より病みやつれた姿の女が映っているのです。これが、わたし……?
 食べては吐くたび、人前に出るのが嫌になって身体も段々弱っていっているような気がします。
 醜い姿なのだから、人前に出るのが嫌になるのは当たり前です。吐いたら栄養が足りないので身体が弱るのも当たり前です。
 きっと、あの人が帰ってこないのも私が醜いからなのです。
 前はトゥルーデが見ちゃいけないと、この日記に書く言葉を選んでいたけれど、最近のわたしはもうそんなことを考えていられないのです。
 書きでもしないと、不安で気が狂いそうで、気が狂いそうで、気が狂いそうでしかたないのです。
 ……そろそろ、夕飯の準備をしなくちゃいけません。
 トゥルーデの分と、あの人の分と、それからわたし。わたしのぶん。
 あの人は帰ってこないのに、わたしは食べても吐いてしまうのに、わたしはどうして料理をしているの……?ねえ。
 でも、トゥルーデは食べてくれるから。料理は作らなくちゃいけません。せめて、一人分だけでも。作らなくちゃ。
 
 ×月△日
 今日は久しぶりにあの人が帰ってきました。
 でも、わたしは朝から頭が痛くてベッドから出ることができませんでした。
 あの人は……わたしの顔もほとんど見てくれません。
 昨日は料理をしていたらぼんやりしていたせいで、左手を深く切ってしまいました。
 脈を打っている血管まで切ってしまったから血が止まらなくて、血が止まらなくて。食べ物を見るのもつらいのに料理をして手を深く切って、痛くて痛くて……。
 トゥルーデには怪我をした手なんて見せられません。昨日は、食事をする前から吐いてしまったので柔らかいスープしか食べられませんでした。
 それから、今日は朝から頭が痛くて眩暈がして。それなのに、あの人はわたしにやさしい言葉もかけてくれません。
 一瞬だけ、あの人のことを「ひどい」と思ってしまいました。きっと、笑顔を作れないわたしが悪いのに。ベッドから出られず寝てばかりのわたしが悪いのに。
 こんなのじゃ、トゥルーデの面倒も満足に見られません。
 夜になってから起きて、こんな気持ちを忘れたくてまた眠るため眠り薬をつまみにビアなんて飲みながらこの日記を書いているわたしはとても馬鹿です。
 
 ×月×日
 目を覚ましたら、部屋があちこち散らかっていました。
 それも、色々なものが壊れているのです。カーテンやベッドの枕はザキザキに切り刻まれて。花瓶やコップは割れて。壁には穴が開いています。
 それから。床が血まみれになっていました。左手はちゃんと止血したはずなのにと思ったら、左腕に覚えのない傷が増えているのです。
 血だまりの中には、ぬいぐるみや人形の服を作るのに使っていた、布を切るハサミが落ちています。
 新しい傷はうさぎの耳みたいな形です。それも、ハサミで強く抉ったみたいな……。
 それから、それだけじゃない。血だまりには髪の毛の束が落ちています。 ゆるやかに波打った黒くて長い髪が。たくさん。
 これは、あの人の髪です。間違いない。
 でも、何も思い出せないのです。昨日、わたしは薬とお酒を飲みながら日記を書いていて……それからの記憶がないのです。
 あの人の姿は、どこにもありません。トゥルーデは子供部屋で眠っています。この子は、きっと何も知らないはず。
 わたしは、一体何をしてしまったのでしょうか……?
 
 ×月×日
 今日は、あの人からの手紙が届きました。
 手紙には、ただ「別れよう」とだけ、書かれていました。
 それから、夫婦の関係を解消する手続きのために必要な紙が入っていました。紙にはあの人のサインが書いてあります。
 つまり、あとはわたしがサインを書くだけだというのです。
 あの人は、わたしから逃げるつもりなのです。わたしの顔を見ることもなく。わたしとの娘を置いて。
 でも、あの日、記憶がなくなった日にわたしがしてしまったことが原因に違いありません。
 あの人は、もうわたしと暮らしていけない。
 全部、もう二度と戻らないのです。
 何もかも。戻らないのです。
 
 *日記はここで途切れている*
 

 
 (おまけ)
 グレーテルは生前のうちに離婚済みという設定。主に精神的にアレだったので逃げられた。
 トゥルーデ=幼少期のゲルトルート
 

ゲルトルートのメモノート


 (まえがきのような何か)
 この文章は、管理人のElonaPC(背徳の髑髏『ゲルトルート』)の雑記みたいなものでした。
 ゲルトルートの詳細というか100質問はこちらから。
 彼女は管理人のElona初見プレイ時のキャラクターでした。リッチ化とエーテル病で身体に少しガタが来ている系の人設定。あと頭がブチ切れてしまった母親と共にいささかノイローゼ気味。
 冒険者wikiに記事を載せているものの長らく更新していないので早いとこ更新したいですね…。

 

 
 
 ×月×日
 今日は何もやる気がしないので一日自宅で寝ていました。そして、目を覚ましたらエーテルの風が吹き始めていました。
 エーテルの風っていったら最初にヴェルニースにいた頃、初めてのエーテルの風に吹かれているのに宿屋の位置が分からず迷子になってしまったことがありました。
 あの頃はそのせいで随分大変なことになってしまいました。方向音痴なのはどうしようもありません。
 方向音痴といえば初めてルミエストに行った時もパン屋さんの場所が分からなくなってずっと迷い続けるうちにお腹が空いて動けなくなりそうになったんだから私はあの街が暫く嫌いでした。
 井戸からスライムが出てきたり、蜘蛛が出てきたりと大変なことにもなってしまったし。
 でも、後になってから行ってみたら綺麗ないい街でした。外観を重視しているのか道が複雑なこと以外は。
 やっぱり住むとすればルミエストよりパルミアの方がずっと便利だなあと思います。
 エーテルの風は、まだ止みそうにありません。またベッドに入ったら寝てしまうんだろうなあ。
 嫌な夢は、見たくありません。
 
 
 ×月▼日
 今日はずっと自分がどうしてリッチなんかになってしまったのか考えていました。
 調べていると、リッチというのは死体に"死霊術"という魔法をかけることで生まれる存在らしいです。
 私がリッチになってしまったのは誰かが私に魔法をかけたということになるはずだけど、誰なのかは分かりません。
 そもそも、私はあの船(クイーン・セドナ号っていうんだっけ)に乗っていて船ごと沈没した時に死んでいなければいけなかったはずだからあの時に誰かが私をリッチにしてしまったのかな……と。
 私を介抱してくれた二人組のエレアは多分違うと思います。あの二人、死霊術なんていう禁忌を犯すような人ではなさそうだったし。
 船の中ではグランドピアノに潰されて肋骨が折れて動けなくなったところでそのまま海に沈んでいったような記憶があります……。
 それよりずっと前、お母さんと二人で暮らしていた頃はお母さんが病気になってから変な魔術の本ばかり集めて読みふけるようになっていたけれど、それも違う気がします。
 ああ、もう考えれば考えるほどわからないや。異国の言葉でいえば"がっでむ"とか"じーざす"と言いたいところです。
 
 そうそう、ここからはリッチになってしまった自分のことについて書こう。
 鏡の前に立っていると、血の気がない顔が今もあまり好きになれません。
 生きていた頃と比べて背も随分伸びてしまったし。髪も褒められていた頃の面影なんてなくなってしまいました。
 髪は……ノースティリスにやってきたばかりと比べたらだいぶ戻ってきたけれど元には戻りません。
 あの頃は食べるたびに吐くのが止まらなくて、髪も抜け続けて毎日死ぬ方法ばかり考えていたのでした。
 今は吐くのも止まったからか、少しずつ髪は戻っていたけれど前みたいに豊かな髪は生えてこないみたいです。
 生きていた頃の何の取り柄もない私が唯一褒められていたものは髪だったので、その取り柄さえ失ってしまったというわけ。馬鹿です。
 せめて食べては吐くのをやめていたら変わっていたんでしょうか。そう考えると後悔しかありません。
 今も帽子を被らないと怖くて外に出られないし、水を浴びたり髪を梳いたりするたびに髪が抜けるといつも怖くなるのです。でも、自業自得だから仕方ありません。
 自業自得と言えば、首だって同じです。帽子とセットの着け襟で隠さなくちゃいけないのだから。
 ロープの跡や傷跡だらけの首なんて、人に見せたらきっととんでもないことになってしまいます。
 ああ、そうだ。最近はまたエーテル病で背中の羽が伸び始めたみたいです。最初は背中が痛かったけれど、羽が生えてからは背が伸びるのも止まったのでこれ以上大きくなりたくないから良かったんだと思おう。
 今の身長でも、男の人より高いなんてことがあるのでこれ以上伸びたらと思うと嫌です。
 あと、この病気になってからは、何だかたまに骨が食べたくて食べたくて仕方ないです。
 骨をそのまま食べるのは不味いからいつもふかふかパンに混ぜて食べているんだけどたまにゴリゴリして口の中を切ってしまいます。どうしよう。
 口の中が切れている時にレモンやトマトを食べるのはとてもつらいです。
 でも、つらいという割にレモンもトマトも口が傷だらけなのに平気で食べてしまっているのでつらいのか平気なのかよく分かりません。
 もうどっちだっていいや。疲れたのでもう寝ます。
 
 
 ×月○日
 今日もエーテルの風は止みません。ふかふかパンがたくさんあるから別に私やみんなの食料に困ることはないけど、ずっと本を読んでいるので目が疲れてきました。
 何となく解剖学の学習書なんかを読んでいたけれど、解剖は実際に解剖しなくちゃ上手くなるものじゃないと思います。
 モンスターから食べられる肉や骨だけを綺麗に取り出すのも難しいもの。
 もっと難しいのは…体液を綺麗に取り出すことだけど。
 私は、綺麗な形の頭蓋骨が好きです。頭蓋骨ってみんな同じ形だと思ったらそれぞれ違う形なので個性があります。
 でも、どの頭蓋骨だって皮がないことと髪がないことはみんな同じです。
 今の私は顔の皮が崩れることと髪がなくなることを怖がっています。いっそ私もしゃれこうべになってしまえば楽になるのにな。
 
 そういえば、メイルーンにいた頃に一度だけお母さんと墓所に行ったことがありました。夏にしか咲かない花を持って。
 誰のお墓かっていったら、確かお母さんは「お兄ちゃんのお墓」とか言っていました。
 お母さんはあまり子供の頃の話をしてくれなかったけれど、お兄ちゃんはお母さんが生まれる前に死んでしまったとは、聞いたことがあります。
 お兄ちゃんの話を聞かせてほしいと言ったら"ヘンゼルを失ったグレーテルは森に一人きり"とか"森の奥には薬を作る魔女の家がありました"とかあまり意味が分からないことしか言ってくれませんでした。
 お母さんは、病気になる前から子供心にどこかよく分からない人だなあと思うところがあります。
 …話を戻すと、その"お兄ちゃん"のお墓は荒らされてもう中の骨も奪われてしまっていたのです。墓石の前に大きな穴が開いていて、まるで墓から這い出したみたいになっていました。
 お母さんは荒らされて空っぽになった「お兄ちゃん」のお墓を前に悲しんでいるだろうと思ってお母さんの顔を見たらくすくすと笑っていたのです。
 私は、お母さんが何で笑うのかよく分からなかったので怖いと思った覚えがあります。
 あの墓所は随分古いところだったのか、荒らされたお墓がたくさんあったことを覚えています。
 それで、その時に私は人の頭蓋骨が落ちているのを見つけてしまいました……いけないことだと分かっていたけれど、その頭蓋骨をこっそりと持って帰ってしまったのです。
 どうしてこんなことをしてしまったかといったら、頭蓋骨がとても寂しそうに見えたからなのでした。
 私は元々友達と遊ぶのが苦手だったけれど、お母さんが病気になってからは余計に友達がいなくなってしまったから持って帰ってきてしまった頭蓋骨はずっと私の話相手でした。
 お母さんがいなくなって、お父さんが帰ってきて、新しいお母さんとお兄ちゃんができてからは"そんな不気味なものは捨てろ"と言われたけれど、絶対に嫌でした。
 捨てられるのが嫌だったから、一番大きかったぬいぐるみの頭に頭蓋骨を入れました。
 死んでしまおうと思った時も、ただこの頭蓋骨だけを連れて船に乗ったのでした。
 その頭蓋骨が入ったぬいぐるみは、今も私のベッドの横にあります。
 この部屋には頭蓋骨入りのぬいぐるみの他にもぬいぐるみやはく製が置いてあるので私はもう一人じゃないのです。
 やっと眠くなってきました。そろそろ寝ることにしよう。おやすみ。
 
 
 ×月※日
 どうして私に"半分血の繋がったお兄ちゃん"がいるの、お父さん。ねえ。どうして。どうしてよ。
 どうして、どうして"血の繋がったお兄ちゃん"が私の寝床に入ってくるの。
 お兄ちゃんが私をぶつ。シーツで身体を巻いてその上からぶつの。
 私を"根暗で何も褒められることのない女だ"とか"顔さえローランの顔なら妾くらいにできたのに、サンドバッグにしかならない"とか言いながら。
 外に行っても誰も助けてくれない。誰か助けて。助けて。助けて。お母さん、早く帰ってきてよ。かえってきて!!
 私をぶつ"お兄ちゃん"が憎い。お母さんを裏切って、お母さんを裏切る前から他の女を裏切っていた"お父さん"が憎い。
 違う。違う。私は誰も憎んでいない。私はいい子にしなくちゃいけないから誰も憎んではいけない。
 殴られるようなことをした私が悪いんだから、殴られても当たり前。これ以上耐えられないなら私が消えればいいこと。
 前は川に飛び込もうとしたら人に見つかって失敗してしまったから、今度はメイルーンから離れたどこか誰にも邪魔されないところで死んでしまおう。
 
 ……私は何を書いているんだろう。そもそもこれは悪い夢なんだ。私はもう"お兄ちゃん"にぶたれていないし、私には"お兄ちゃん"なんていないし、お母さんはもうすぐ帰ってくるから、私は死ぬ必要もないんだ。
 全部夢だから。
 全部夢、夢、夢。夢夢夢夢夢夢夢夢。
 
 
 ×月×日
 今朝もエーテルの風は止んでいませんでした。本を読むことと寝ることしかやることがありません。
 寝ていると、どうしても見たくない夢ばっかり見ます。
 悪夢ばっかりで気が狂いそうだけど、眠らなかったら眠らなかったで気が狂うと言います。
 前のページはいつの間にかわけが分からない文章でぐちゃぐちゃになっていました。あーあ。
 多分寝ぼけながらノートを開いていたんだと思います。前のページは見ていると吐き気がするので糊で閉じておこう。
 それはそうと、何日も家に閉じこもったままだからなのかな、今日は朝からずっと泣いています。何も悲しいわけじゃないのに泣きたくて仕方ないのです。
 ……泣きながらじゃ全然本の内容も頭に入ってこないので読書はもうやめやめ。
 この日記も、少し落ち着いた合間に書いている始末で嫌になってしまいます。
 泣くと、声が詰まって上手く喋られなくなるし、喉は嗄れてしまうし、目は赤くなってしまうし、良いことなんて何にもありません。
 でも、前みたいに突然首を吊ってしまうよりはまだマシだと思わないとやってられません。本当に本当に。
 ……ふと、部屋の隅の鏡を見たら顔中血だらけになっていました。通りでぬるぬるしていると思ったら、目から出ていたのは涙じゃなくて血だったんだ。
 でも、リッチになってからはいつもこうなので今となっては別に驚きません。リッチになって私の身体も壊れちゃったのかな。
 とりあえず顔を拭いたらタオルが血だらけです。両手を見たら血が固まってゼリーみたいです。
 さっきは泣いても良いことなんて何もないと言ったけれど、これが一番嫌なのです。
 巷では「涙は女の武器」なんて話を聞くことがあります。女が泣けばみんな優しくしてくれるとかってことらしいです。
 でも、そんなの嘘だと思います。泣いて許されるのなんて、余程美人じゃないと無理じゃないの。
 ましてや、涙じゃなくて血がそのまま目から出てくるような女なんかが泣いたらみんな優しくしてくれるどころか、みんな逃げていくに違いありません。
 だから、私は外ではどんなことを言われても泣きたくないのです。あ、ネフィアで戦って血まみれの時は別に血涙なんかが出ていても気にならないから別だ。
 それから、私は美人じゃないし血涙が出てこなくてもどの道泣いたってダメです。私が涙を流しても武器にならないけど、凶器にはなるんでしょうね。
 美人な女と不細工な女とで態度をコロコロ変える人なんて、ミンチになってしまえばいいと思います。
 とりあえず鏡を見たら目は文字通り「真っ赤」です。まつ毛まで血で固まってしまったので目が痛いです。
 それから、相変わらず私の目付きは悪いです。お母さんみたいにもっとやさしい目だったら良かったのに。
 目が痛いなあ、痛いなあ、痛い。痛い。
 あー、喉からも血を吐いちゃった。おえっ。
 ……そういえば、今朝は泣きながら目が覚めたのを思い出したので、まさかとベッドに置いてある枕を見たら血で真っ赤でした。
 枕もタオルも洗濯しなくちゃ腐ってしまいます。でも、エーテルの風が止まないと洗濯もできません。
 本当に面倒くさいなあ。もう死にたいなあ……。
 あ、でも私はもう死んでいたからもう死ねないんだった。もういいや。
 
 *つづく?*
  

 

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