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資源ゴミ置き場

あまり健全ではない文章を置いていく場所だと思います。

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ゲルトルートのメモノート


 (まえがきのような何か)
 この文章は、管理人のElonaPC(背徳の髑髏『ゲルトルート』)の雑記みたいなものでした。
 ゲルトルートの詳細というか100質問はこちらから。
 彼女は管理人のElona初見プレイ時のキャラクターでした。リッチ化とエーテル病で身体に少しガタが来ている系の人設定。あと頭がブチ切れてしまった母親と共にいささかノイローゼ気味。
 冒険者wikiに記事を載せているものの長らく更新していないので早いとこ更新したいですね…。

 

 
 
 ×月×日
 今日は何もやる気がしないので一日自宅で寝ていました。そして、目を覚ましたらエーテルの風が吹き始めていました。
 エーテルの風っていったら最初にヴェルニースにいた頃、初めてのエーテルの風に吹かれているのに宿屋の位置が分からず迷子になってしまったことがありました。
 あの頃はそのせいで随分大変なことになってしまいました。方向音痴なのはどうしようもありません。
 方向音痴といえば初めてルミエストに行った時もパン屋さんの場所が分からなくなってずっと迷い続けるうちにお腹が空いて動けなくなりそうになったんだから私はあの街が暫く嫌いでした。
 井戸からスライムが出てきたり、蜘蛛が出てきたりと大変なことにもなってしまったし。
 でも、後になってから行ってみたら綺麗ないい街でした。外観を重視しているのか道が複雑なこと以外は。
 やっぱり住むとすればルミエストよりパルミアの方がずっと便利だなあと思います。
 エーテルの風は、まだ止みそうにありません。またベッドに入ったら寝てしまうんだろうなあ。
 嫌な夢は、見たくありません。
 
 
 ×月▼日
 今日はずっと自分がどうしてリッチなんかになってしまったのか考えていました。
 調べていると、リッチというのは死体に"死霊術"という魔法をかけることで生まれる存在らしいです。
 私がリッチになってしまったのは誰かが私に魔法をかけたということになるはずだけど、誰なのかは分かりません。
 そもそも、私はあの船(クイーン・セドナ号っていうんだっけ)に乗っていて船ごと沈没した時に死んでいなければいけなかったはずだからあの時に誰かが私をリッチにしてしまったのかな……と。
 私を介抱してくれた二人組のエレアは多分違うと思います。あの二人、死霊術なんていう禁忌を犯すような人ではなさそうだったし。
 船の中ではグランドピアノに潰されて肋骨が折れて動けなくなったところでそのまま海に沈んでいったような記憶があります……。
 それよりずっと前、お母さんと二人で暮らしていた頃はお母さんが病気になってから変な魔術の本ばかり集めて読みふけるようになっていたけれど、それも違う気がします。
 ああ、もう考えれば考えるほどわからないや。異国の言葉でいえば"がっでむ"とか"じーざす"と言いたいところです。
 
 そうそう、ここからはリッチになってしまった自分のことについて書こう。
 鏡の前に立っていると、血の気がない顔が今もあまり好きになれません。
 生きていた頃と比べて背も随分伸びてしまったし。髪も褒められていた頃の面影なんてなくなってしまいました。
 髪は……ノースティリスにやってきたばかりと比べたらだいぶ戻ってきたけれど元には戻りません。
 あの頃は食べるたびに吐くのが止まらなくて、髪も抜け続けて毎日死ぬ方法ばかり考えていたのでした。
 今は吐くのも止まったからか、少しずつ髪は戻っていたけれど前みたいに豊かな髪は生えてこないみたいです。
 生きていた頃の何の取り柄もない私が唯一褒められていたものは髪だったので、その取り柄さえ失ってしまったというわけ。馬鹿です。
 せめて食べては吐くのをやめていたら変わっていたんでしょうか。そう考えると後悔しかありません。
 今も帽子を被らないと怖くて外に出られないし、水を浴びたり髪を梳いたりするたびに髪が抜けるといつも怖くなるのです。でも、自業自得だから仕方ありません。
 自業自得と言えば、首だって同じです。帽子とセットの着け襟で隠さなくちゃいけないのだから。
 ロープの跡や傷跡だらけの首なんて、人に見せたらきっととんでもないことになってしまいます。
 ああ、そうだ。最近はまたエーテル病で背中の羽が伸び始めたみたいです。最初は背中が痛かったけれど、羽が生えてからは背が伸びるのも止まったのでこれ以上大きくなりたくないから良かったんだと思おう。
 今の身長でも、男の人より高いなんてことがあるのでこれ以上伸びたらと思うと嫌です。
 あと、この病気になってからは、何だかたまに骨が食べたくて食べたくて仕方ないです。
 骨をそのまま食べるのは不味いからいつもふかふかパンに混ぜて食べているんだけどたまにゴリゴリして口の中を切ってしまいます。どうしよう。
 口の中が切れている時にレモンやトマトを食べるのはとてもつらいです。
 でも、つらいという割にレモンもトマトも口が傷だらけなのに平気で食べてしまっているのでつらいのか平気なのかよく分かりません。
 もうどっちだっていいや。疲れたのでもう寝ます。
 
 
 ×月○日
 今日もエーテルの風は止みません。ふかふかパンがたくさんあるから別に私やみんなの食料に困ることはないけど、ずっと本を読んでいるので目が疲れてきました。
 何となく解剖学の学習書なんかを読んでいたけれど、解剖は実際に解剖しなくちゃ上手くなるものじゃないと思います。
 モンスターから食べられる肉や骨だけを綺麗に取り出すのも難しいもの。
 もっと難しいのは…体液を綺麗に取り出すことだけど。
 私は、綺麗な形の頭蓋骨が好きです。頭蓋骨ってみんな同じ形だと思ったらそれぞれ違う形なので個性があります。
 でも、どの頭蓋骨だって皮がないことと髪がないことはみんな同じです。
 今の私は顔の皮が崩れることと髪がなくなることを怖がっています。いっそ私もしゃれこうべになってしまえば楽になるのにな。
 
 そういえば、メイルーンにいた頃に一度だけお母さんと墓所に行ったことがありました。夏にしか咲かない花を持って。
 誰のお墓かっていったら、確かお母さんは「お兄ちゃんのお墓」とか言っていました。
 お母さんはあまり子供の頃の話をしてくれなかったけれど、お兄ちゃんはお母さんが生まれる前に死んでしまったとは、聞いたことがあります。
 お兄ちゃんの話を聞かせてほしいと言ったら"ヘンゼルを失ったグレーテルは森に一人きり"とか"森の奥には薬を作る魔女の家がありました"とかあまり意味が分からないことしか言ってくれませんでした。
 お母さんは、病気になる前から子供心にどこかよく分からない人だなあと思うところがあります。
 …話を戻すと、その"お兄ちゃん"のお墓は荒らされてもう中の骨も奪われてしまっていたのです。墓石の前に大きな穴が開いていて、まるで墓から這い出したみたいになっていました。
 お母さんは荒らされて空っぽになった「お兄ちゃん」のお墓を前に悲しんでいるだろうと思ってお母さんの顔を見たらくすくすと笑っていたのです。
 私は、お母さんが何で笑うのかよく分からなかったので怖いと思った覚えがあります。
 あの墓所は随分古いところだったのか、荒らされたお墓がたくさんあったことを覚えています。
 それで、その時に私は人の頭蓋骨が落ちているのを見つけてしまいました……いけないことだと分かっていたけれど、その頭蓋骨をこっそりと持って帰ってしまったのです。
 どうしてこんなことをしてしまったかといったら、頭蓋骨がとても寂しそうに見えたからなのでした。
 私は元々友達と遊ぶのが苦手だったけれど、お母さんが病気になってからは余計に友達がいなくなってしまったから持って帰ってきてしまった頭蓋骨はずっと私の話相手でした。
 お母さんがいなくなって、お父さんが帰ってきて、新しいお母さんとお兄ちゃんができてからは"そんな不気味なものは捨てろ"と言われたけれど、絶対に嫌でした。
 捨てられるのが嫌だったから、一番大きかったぬいぐるみの頭に頭蓋骨を入れました。
 死んでしまおうと思った時も、ただこの頭蓋骨だけを連れて船に乗ったのでした。
 その頭蓋骨が入ったぬいぐるみは、今も私のベッドの横にあります。
 この部屋には頭蓋骨入りのぬいぐるみの他にもぬいぐるみやはく製が置いてあるので私はもう一人じゃないのです。
 やっと眠くなってきました。そろそろ寝ることにしよう。おやすみ。
 
 
 ×月※日
 どうして私に"半分血の繋がったお兄ちゃん"がいるの、お父さん。ねえ。どうして。どうしてよ。
 どうして、どうして"血の繋がったお兄ちゃん"が私の寝床に入ってくるの。
 お兄ちゃんが私をぶつ。シーツで身体を巻いてその上からぶつの。
 私を"根暗で何も褒められることのない女だ"とか"顔さえローランの顔なら妾くらいにできたのに、サンドバッグにしかならない"とか言いながら。
 外に行っても誰も助けてくれない。誰か助けて。助けて。助けて。お母さん、早く帰ってきてよ。かえってきて!!
 私をぶつ"お兄ちゃん"が憎い。お母さんを裏切って、お母さんを裏切る前から他の女を裏切っていた"お父さん"が憎い。
 違う。違う。私は誰も憎んでいない。私はいい子にしなくちゃいけないから誰も憎んではいけない。
 殴られるようなことをした私が悪いんだから、殴られても当たり前。これ以上耐えられないなら私が消えればいいこと。
 前は川に飛び込もうとしたら人に見つかって失敗してしまったから、今度はメイルーンから離れたどこか誰にも邪魔されないところで死んでしまおう。
 
 ……私は何を書いているんだろう。そもそもこれは悪い夢なんだ。私はもう"お兄ちゃん"にぶたれていないし、私には"お兄ちゃん"なんていないし、お母さんはもうすぐ帰ってくるから、私は死ぬ必要もないんだ。
 全部夢だから。
 全部夢、夢、夢。夢夢夢夢夢夢夢夢。
 
 
 ×月×日
 今朝もエーテルの風は止んでいませんでした。本を読むことと寝ることしかやることがありません。
 寝ていると、どうしても見たくない夢ばっかり見ます。
 悪夢ばっかりで気が狂いそうだけど、眠らなかったら眠らなかったで気が狂うと言います。
 前のページはいつの間にかわけが分からない文章でぐちゃぐちゃになっていました。あーあ。
 多分寝ぼけながらノートを開いていたんだと思います。前のページは見ていると吐き気がするので糊で閉じておこう。
 それはそうと、何日も家に閉じこもったままだからなのかな、今日は朝からずっと泣いています。何も悲しいわけじゃないのに泣きたくて仕方ないのです。
 ……泣きながらじゃ全然本の内容も頭に入ってこないので読書はもうやめやめ。
 この日記も、少し落ち着いた合間に書いている始末で嫌になってしまいます。
 泣くと、声が詰まって上手く喋られなくなるし、喉は嗄れてしまうし、目は赤くなってしまうし、良いことなんて何にもありません。
 でも、前みたいに突然首を吊ってしまうよりはまだマシだと思わないとやってられません。本当に本当に。
 ……ふと、部屋の隅の鏡を見たら顔中血だらけになっていました。通りでぬるぬるしていると思ったら、目から出ていたのは涙じゃなくて血だったんだ。
 でも、リッチになってからはいつもこうなので今となっては別に驚きません。リッチになって私の身体も壊れちゃったのかな。
 とりあえず顔を拭いたらタオルが血だらけです。両手を見たら血が固まってゼリーみたいです。
 さっきは泣いても良いことなんて何もないと言ったけれど、これが一番嫌なのです。
 巷では「涙は女の武器」なんて話を聞くことがあります。女が泣けばみんな優しくしてくれるとかってことらしいです。
 でも、そんなの嘘だと思います。泣いて許されるのなんて、余程美人じゃないと無理じゃないの。
 ましてや、涙じゃなくて血がそのまま目から出てくるような女なんかが泣いたらみんな優しくしてくれるどころか、みんな逃げていくに違いありません。
 だから、私は外ではどんなことを言われても泣きたくないのです。あ、ネフィアで戦って血まみれの時は別に血涙なんかが出ていても気にならないから別だ。
 それから、私は美人じゃないし血涙が出てこなくてもどの道泣いたってダメです。私が涙を流しても武器にならないけど、凶器にはなるんでしょうね。
 美人な女と不細工な女とで態度をコロコロ変える人なんて、ミンチになってしまえばいいと思います。
 とりあえず鏡を見たら目は文字通り「真っ赤」です。まつ毛まで血で固まってしまったので目が痛いです。
 それから、相変わらず私の目付きは悪いです。お母さんみたいにもっとやさしい目だったら良かったのに。
 目が痛いなあ、痛いなあ、痛い。痛い。
 あー、喉からも血を吐いちゃった。おえっ。
 ……そういえば、今朝は泣きながら目が覚めたのを思い出したので、まさかとベッドに置いてある枕を見たら血で真っ赤でした。
 枕もタオルも洗濯しなくちゃ腐ってしまいます。でも、エーテルの風が止まないと洗濯もできません。
 本当に面倒くさいなあ。もう死にたいなあ……。
 あ、でも私はもう死んでいたからもう死ねないんだった。もういいや。
 
 *つづく?*
  

 
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