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資源ゴミ置き場

あまり健全ではない文章を置いていく場所だと思います。

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字数制限に引っ掛かって載せられなかった与太話(2)

 
 (※注意)
 この文章は『遺書。』のあとがきのような何かです。本文を先の読んでからの閲覧を推奨します。
 
 

 今回の文章はヴィンデール焼失から4年後くらいを想定して書いたものでした。
 イルヴァ資料館によれば本編開始時の時点(ですかね?)でレントンさんは40歳とのことですが、43歳を過ぎた彼はどうなっているんでしょうか。生きる希望を見出して変わることができたのか、変わることができないまま生きているのか、あるいはやはり人生に絶望して死んでしまうのか。
 今回の分はいわゆるもしもシリーズという程度のものとして受け取ってもらえたらこれ幸い至極です。
 
 
 レントンの死体の処遇については本当はもっと救いようのない結末にするつもりでした。結局安らかに埋葬されてもらう展開になりましたが。
 自殺した人間の死体は放置しておけと誰もレントンの死体を道端に落ちているセミの死体と同等に見て触ろうとしない、バルザックも死体を触りに行けない。人々が死体を処理しようと動き始めたのはレントンが膨れ上がった腐乱死体になってから……みたいな展開も考えたのですが没にしました。
 イルヴァというかノースティリスの自殺に対する倫理観は一体どうなっているんでしょうか。ゲーム中では普通に首吊り自殺ができたり願いで死を望んだりできますが…。
 自殺=非倫理的な死という表現についてはだいぶキリスト教の倫理の影響を受けていますね。筆者がキリスト教(イギリス聖公会だった)の学校に通っていた経験があるので。あと、日本でも自殺=迷惑っていう等式が成り立っていますしやはり倫理的にはよろしくないんでしょう。
 自殺者を晒しものにして石を投げるとか葬儀をさせないというのはあくまで生きた人間に対する見せしめのような気がします。
 でも、宗教とか倫理なんてものを引っ提げても人は自殺する時には自殺します。宗教も倫理も自殺直前の精神状態に陥った人間を前にすれば無力です。
 
 
 レントンの妹については生前の言動がアレだったみたいだし死んだ後も中傷に晒されていそうです…。さすがに若い少女の死体を街で晒しものにして石を投げるなんていう野蛮なことはなさそうだと思いますが、ノースティリスじゃどうだか分かりません。いや、少女だからこそ晒しものにされるというのもありそうで怖い。
 もし妹が死後にも恥ずべき死に方をした人間扱いされていたとすればレントンの苦悩は相当深かったんじゃないでしょうか。
 妹を水で亡くしたのに水の都に住んで水を見つめ続けるというのは、家族が自殺してしまった部屋で家族の血痕が染み込んだ壁を見つめながら暮らし続けるようなものじゃないかと思います。
 あと、レントンは『ハムレット』のレアティーズという登場人物と境遇がオーバーラップするところがある。レアティーズも妹(オフェリア)を水で亡くしている人です。
 劇中で父親をハムレットに殺されたことを引き金に気が狂ったオフェリアは川に転落して死んでしまうんですが自殺の疑いがあることを理由に埋葬も手短で神父に「本来は埋葬も許されず晒しものにされるべき」とまで言われているんですよね…。レアティーズさんも妹を相当大事にしていたっぽいですが。
 父親とオフェリアを失ったレアティーズはハムレットへ復讐をしようとするのですが、レントンにとってのレイチェルの絵本とかエヘカトルの存在はレアティーズにとってのハムレットみたいな存在なんじゃないでしょうか。
 でもクエスト終了後のレントンの様子を見る限りではレイチェルの絵本4冊を破り捨ててもエヘカトルへ呪詛を吐いても自分が救われないことは分かっていそうです。妹の死を何かのせいにしなければ生きていけない自分にほとほと疲れ果てた末に出た言葉が「私は生きている価値があるのかな?」だったんじゃないかなと。
 
 
 それから、ニュンペーというのはギリシャ神話に出てくる半神性の生物、いわゆるニンフのことです。
 人を声で惑わせて水に引きずり込んで殺すのはセイレーンとかローレライ。セイレーンは元々ニュンペーだったらしいですが。こいつらは大抵は女の姿をしている。男の姿をした水妖ってほとんど聞いたことがない。
 
 
 今回の文中でレントンが遺書で語る「進行するうち大量の水を飲み続ける症状が現れる神経の病」というのは現実にも実在する精神疾患があるのですが、別にレントンがそれだったと言いたいわけではないです。もちろん、該当の疾患にかかった人全てに多飲という症状が出るわけではない。
 ちなみにGoogle辺りで調べたらすぐ出てくる疾患ですよ。罹患者は100人に1人くらいとそんなに珍しいものではない。
 エーテル病のポーション中毒って現実にある多飲みたいな症状なんでしょうか。エーテル病って殺戮の飢えとか痴呆とか神経から来る症状っぽいものが多いですがポーション中毒もその類ですかね。
 ノイエルのリリィさんは44歳(公式設定)にして重度エーテル病ですが、資料館を見ればその年齢でそこまで病が進行するのは珍しいと書いてあった気がします。
 ノーランドの人の平均寿命(70歳)からしてエーテル病の初期症状が現れるのは45~50くらいなんでしょうか。ヴィンデール焼失後のエーテル病の処遇がよく分からない。
 それはそうと、大量の水を飲むのは水中毒という症状を起こして命を落とすことがあるらしいです。気を付けましょう。
 
 
 最後に。それまで鬱屈としていた人が突然に穏やかな様子を見せたり落ち着いた様子を見せたりするのはそれ自体が自殺してしまう兆候だということがあるらしいです。
 あと、家族を自殺で亡くした人が自殺してしまうリスクとか自殺念慮をもつリスクはそうでない人より高くなるそうな…。
 疲れ果てて弱ってしまった人間を「そんなことで壊れるなんて…」と糾弾することで気持ちよくなるのは簡単なことです。そして、疲れ果てて弱ってしまった人間に同情や共感をするふりをしながら優越感に浸って気持ちよくなるのも簡単なことです。
 どうすれば人間って救われるんでしょうね。そもそも救われようと思う限り救われないものなのかもしれません。
 
 
 *おしまい*
 
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